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学歴と格差・不平等

増補版

成熟する日本型学歴社会

著:吉川 徹

紙版

内容紹介

子どもたちの学歴が親の学歴を上回っていく高学歴化の時代が終焉し,大卒学歴が世代間で継承されはじめている.社会調査データから導きだした「新しい学歴社会論」によって,格差・不平等問題の不安にゆれる日本社会に潜在するメカニズムを解き明かす.

目次

1章 いま学歴社会をどうとらえるか
 福沢諭吉と日本人
 ひとつだけ聞くとしたら
 社会システムのなかで学歴をみる
 旧式学歴社会論
 草の根レベルでの拒否反応
 大衆教育社会論

2章 もはや高学歴化社会ではない
 学歴社会の成熟
 取り払われる昭和のヴェール
 高学歴化の急速な達成と終焉
 世代間のタテの比較からヨコ並びの格差へ
 世界最高水準での均衡
 18歳への集約

3章 職業か学歴か?――階級・階層論再考
 世代間移動と職業階層
 学歴媒介トライアングル・モデル
 忍び寄る限界
 すべての因果を見直す
 文化的再生産論の挑戦
 成熟学歴社会のダイナミズム
 学歴が駆動力をもつ社会

4章 因果構造を読みなおす
 学歴伏流パラレル・モデル
 相補関係
 親学歴効果の説明論理の不在
 大学進学の多重圧力
 ミクロな機会不平等要因
 マクロな制約
 学歴下降回避説
 他説をしのぐ妥当性
 特色の少ないメリトクラシー構造
 図と地の転換

5章 親の学歴から子の学歴へ――学歴の世代間移動の構造
 学歴の世代間移動表をみる
 自己組織化作用
 潜在する学歴下降回避メカニズム
 学校現場における階層問題
 ゆとり教育の背後にあるもの

6章 不平等化の伏流水脈――学歴の世代間移動の趨勢
 高卒・大卒再生産社会への軌跡
 反転閉鎖化
 『不平等社会日本』
 学歴の先行性

7章 成熟学歴社会の社会意識論をめざして
 社会意識の説明モデル
 分析結果が示す実態
 学歴社会意識論のメカニズム
 学歴の「不戦勝」
 
8章 総中流の静かな変容
 「中」意識研究からの脱却
 多変量の因果モデル
 パス・モデルの時点間比較(有職男性)
 変化をもたらした要因は何か?
 女性の階層帰属意識の規定要因
 70年代の熱狂から90年代の「二元性」へ
 学歴で変化を読み解く

9章 格差・不平等の正体を知る
 成熟学歴社会の8つの特性
 新旧の学歴社会論
 あらためて謎を解く

補論 現実になった成熟学歴社会
 「未来予測」の正否を問う
 成熟学歴社会から学歴分断社会へ
 学歴下降回避メカニズム



Education and Social Inequality:
Contemporary Educational Credentialism in Japan
[Revised Edition]
Toru KIKKAWA

著者略歴

著:吉川 徹
大阪大学大学院人間科学研究科教授

ISBN:9784130501965
出版社:東京大学出版会
判型:4-6
ページ数:294ページ
定価:3600円(本体)
発行年月日:2019年05月
発売日:2019年05月20日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JHB