序章 二一世紀の日中関係――四要因モデルとは何か
はじめに
一 日中関係を分析する枠組み――四要因モデル
二 国交正常化以後の日中関係――簡単な回顧
三 本書の構成
I 時代を読む
第一章 反日ショックと国力逆転――二〇〇一-二〇〇九(園田茂人)
はじめに
一 日中関係の可視化と二つの問い
二 二〇〇一年から二〇〇九年にかけての日中関係――その概観
三 日本の対中認識に占める反日ショックの大きさ
四 日中の国力逆転と認識ギャップの顕在化
おわりに
第二章 首脳交流から全般的関係改善へ――二〇一〇-二〇一九(丸川知雄)
はじめに
一 尖閣問題の表面化
二 最悪状態からの回復
三 中国の外交攻勢
四 トランプ政権下の日中関係
五 日中関係の分析
おわりに
第三章 安全保障の時代へ――二〇二〇-(川島 真)
はじめに
一 二〇一〇年代からの国際要因・安全保障要因
二 新型肺炎感染拡大下の国内要因
三 経済要因の変容――安全保障との関係性と政経分離の困難
四 新型肺炎感染拡大と国民感情
五 おわりに――直近三年間の日中関係
Ⅱ 錯綜する像、複雑な力学 ラウンドテーブル(1)(高原明生、園田茂人、丸川知雄、川島 真)
一 政治外交・安全保障に見る日中関係の二〇年
二 経済・産業に見る日中関係の二〇年
三 社会・認識に見る日中関係の二〇年
四 三つの領域で深堀りされるキーワード
Ⅲ キーワードで読む
ⅰ 政治外交・安全保障
第四章 歴史認識問題(川島 真、小嶋華津子)
はじめに
一 歴史認識問題の「管理」――三つの談話と反日デモ
二 「戦争遺留問題」とされる問題群
おわりに
第五章 ODA――援助・被援助関係の終了(北野尚宏、中里太治)
はじめに
一 日本の対中ODAの規模と推移
二 対中ODA方針の見直し(二〇〇一-二〇二一年)
三 対中ODAの実績と成果
四 ODA終了後の日中関係
おわりに
第六章 台湾ファクター――悪循環の構造化(松田康博)
はじめに
一 日本の対台湾政策に中国が反発する構造
二 中台の狭間で日本が選択した対応
三 「台湾問題」から「中国問題」へ
四 高まる対台湾武力行使への懸念
五 CPTPP加盟申請歓迎とCOVID-19ワクチン提供
六 日台の精神的・感情的紐帯――日中不信と対立の悪循環
おわりに
第七章 東シナ海――緊張関係の最前線(益尾知佐子)
はじめに
一 東シナ海に関する三つの日中交渉
二 尖閣諸島をめぐる緊張の高まり
三 武装力がにらみ合う海へ
おわりに
ⅱ 経済・産業
第八章 自動車産業――日本からの技術移転と中国メーカーの台頭(李 澤建)
はじめに
一 中国における日本メーカーの事業展開と能力の移転
二 中国の民族系メーカーの台頭と日系メーカーの課題の顕在化
三 日本メーカーによる中国事業の戦略調整
四 日中の企業間関係の変化
おわりに
第九章 コンテンツ産業――統制と競合の諸相(青﨑智行)
はじめに
一 二〇〇〇年代――中国のコンテンツ産業振興と日本の取り組み
二 二〇一〇年代前半――中国コンテンツ産業の拡大と日中関係による影響
三 二〇一〇年代後半以降――日中コンテンツ産業連携の発展
おわりに
第一〇章 移動通信産業――日中逆転の力学(丸川知雄)
はじめに
一 日本メーカーの中国事業
二 日本のインボリューション、中国のゲリラ化
三 スマホ時代における中国メーカーの日本進出
おわりに
ⅲ 社会・認識
第一一章 相互認識――調査と知見の日中関係史(園田茂人)
はじめに
一 日本先行の前史――二〇〇五年まで
二 中国における大規模調査の本格化――二〇〇五-二〇一五年
三 日本の停滞・中国の成長――二〇一六年以降
おわりに
第一二章 国際人流――不均質でトランスナショナルな空間の形成(ファーラー・グラシア、ファーラー・ジェームス)
はじめに
一 中国から日本へ
二 日本から中国へ
おわりに
第一三章 学術交流――脆弱性と強靭性の共存(杉村美紀)
はじめに
一 日中関係における学術交流をみる視点
二 学術交流の持つ強靭な側面
三 学術交流と国際関係・経済安全保障をめぐる課題
おわりに
第一四章 民間交流――政治による関与と多様化の相剋(川島 真、江藤名保子)
はじめに
一 「伝統的」友好交流とその限界――友好七団体と自治体交流
二 民間組織・財団等による各分野の民間交流
三 研究者による日中「知的共同体」形成への動きとその停頓
四 官民一体への回帰か――医療ツーリズムにみる交流
おわりに
IV 日中関係の過去と未来 ラウンドテーブル(2)(高原明生、園田茂人、丸川知雄、川島 真)
一 変容する日中関係の力学
二 国内政治と日中関係の将来
三 流動的な国際環境と日中関係
四 日中関係を安定・発展させるために何をすべきか
あとがき