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臨床心理学史

著:サトウ タツヤ

紙版

内容紹介

公認心理師の時代を迎えるいま,臨床心理学という「文化・歴史的存在」の歩みをまとめる待望の書.「狂気」「障害と適応」「行動療法」「検査・測定」の4つの問いをめぐり,ウィトマーとその前史から,今日のエビデンス・ベイストの展開までの,主要な人名・著作・概念・実践の展開を描きだす.

目次

まえがき

第1章 臨床心理学の前史――1896年まで
 1.1 諸学の近代化プロセスと心理学前史の始まり
 1.2 パリにおける精神病者の解放――1793年
 1.3 精神医学の提唱――1808年
 1.4 統計的思考の展開と心理学への影響――1835年
 1.5 心理学と進化論の状況:ダーウィンの進化論――1859年
 1.6 近代心理学成立前夜――1860年
 1.7 神経心理学の曙光(ブローカ野の発見)――1861年
 1.8 近代心理学の成立――1879年
 1.9 児童研究運動――1880年
 1.10 神経症とその治療法としての睡眠――1882年

第2章 臨床心理学の成立――1896年から
 2.1 近代心理学成立以降の心理学の多様化
 2.2 ウィットマーのサイコロジカル・クリニック――1896年
 2.3 フロイトの精神分析とその展開:夢の解釈(夢判断)――1900年
 2.4 知能検査の成立:心理検査の源流――1905年
 2.5 精神衛生とガイダンス:アメリカ――1908年
 2.6 統計と心理学:因子分析および小標本の分布に関する統計的思考、t分布――1908年
 2.7 フロイト派の大騒ぎ:離反・展開・巻き込み――1911年
 2.8 ドイツにおける精神医学の状況と精神病理学の成立――1913年
 2.9 反射研究、機能主義から行動主義宣言へ――1913年
 2.10 戦争と心理学:臨床・神経・知能・性格――1915年

第3章 臨床心理学の多彩な展開――1921年から
 3.1 基礎と応用と/楽観と危惧と:学範内外における心理学の広がり
 3.2 性格理論の勃興と心理学的測定の必要性――1921年
 3.3 心理検査:投影法から多変量解析まで――1921年
 3.4 優生劣廃学の興隆・衰退と社会的影響――1922年
 3.5 行動療法:レスポンデント条件づけと行動療法――1924年
 3.6 児童研究から発達研究へ――1924年
 3.7 児童相談と児童精神医学――1926年
 3.8 臨床心理学という制度:職業としての心理学確立期の内憂外患――1931年
 3.9 精神医療に関する様々なできごと:ロボトミー――1935年
 3.10 生理・神経・脳と心理学:神経心理学――1936年

第4章 臨床心理学の成熟――1945年から
 4.1 第二次世界大戦の終結と心理学の状況
 4.2 子どもの精神衛生と母性(愛)神話――1945年
 4.3 科学者―実践家モデル――1949年
 4.4 妥当性と信頼性:心理学的統計の進展――1951年
 4.5 効果の考察、訓練法の整備――1952年
 4.6 向精神薬の発見と精神医学の展開――1952年
 4.7 精神医学・精神力動・精神分析――1953年
 4.8 カウンセリングの展開と人間性心理学――1954年
 4.9 ストレス学説から心理学的ストレス学説へ:セリエ――1955年
 4.10 行動療法の展開――1957年

第5章 臨床心理学の新展開――1960年ごろから
 5.1 心理学における意味への志向の高まり
 5.2 心理療法の多様化:短期療法という発想――1954年
 5.3 論理療法・認知療法から認知行動療法へ――ベックのモデル1963年
 5.4 家族療法:システム論の台頭『ファミリー・プロセス』誌の創刊――1962年
 5.5 コミュニティ、予防、健康:キャプランの予防精神医学――1964年
 5.6 精神医学への疑義の表明から操作的診断の確立へ:DSM-IIIの発表――1980年
 5.7 子どもの発達への新しい見方:ウィングによるアスペルガーの「再発見」――1981年
 5.8 発達と社会:ジェンダーという視点、フェミニズムという立場――1982年
 5.9 効果をめぐる様々な立場の成熟――1986年
 5.10 専門職としての新たな基盤整備:統合アプローチ、倫理の探究等――1987年
  
あとがき

著者略歴

著:サトウ タツヤ
立命館大学総合心理学部教授

ISBN:9784130111454
出版社:東京大学出版会
判型:A5
ページ数:496ページ
定価:7000円(本体)
発行年月日:2021年12月
発売日:2021年12月02日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MKM