新編 日本古典文学全集 71
松尾芭蕉集 2
他校注・訳:井本 農一
他校注・訳:村松 友次
他校注・訳:堀切 実
紙版
内容紹介
芭蕉の紀行・日記、全俳文、代表的な連句12歌仙を収録。豊富な図版入り。
本全集の第三十九回配本は、芭蕉の日記・紀行六編と全俳文(百十八編)と、代表的な芭蕉連句十二歌仙を収録した「松尾芭蕉集②」です。 ここで特記すべきは、昨年十一月末、所在不明だった「奥の細道」の芭蕉自筆本が発見されたことです。この自筆本を見ると、貼紙をしたり、棒線で消したりして訂正した箇所は七十数ヶ所にも及び、推敲に推敲を重ねたことがよくわかります。彼が「奥の細道」にいかに心血を注いだか、「排聖」と呼ばれた所以まで理解できるように思います。 本書は、この自筆本と最善の底本とされる曾良本とを綿密に比較検討して最良の原本を確定しました。むろん、頭注・現代語訳も、より詳細でわかりやすくなっています。 両者の差異については「補説」欄を設け、二十二ページにもわたって詳説しました。これによって、最新最高の「奥の細道」が完成したわけです。 また、俳文は新発見のものを大幅に追加収録し、最近盛んになってきた連句も、最新の研究成果を評釈・頭注に取り入れて、詳しく、しかもわかりやすくなっています。 「全発句」を収録した「松尾芭蕉集①」と合わせてお読みいただければ、芭蕉の全貌をつかむことができるというものです。 この際、どなたにも、ぜひ本書のご味読を心からお勧めする次第です。