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講談社文芸文庫

小説の未来

著:加藤 典洋

紙版

内容紹介

村上春樹『スプートニクの恋人』、村上龍『希望の国のエクソダス』、川上弘美『センセイの鞄』、大江健三郎『取り替え子』、高橋源一郎『日本文学盛衰史』、阿部和重『ニッポニアニッポン』、町田康『くっすん大黒』、金井美恵子『噂の娘』、吉本ばなな『アムリタ』など、1990年代の日本文学を深く読み込んでその本質を読解したうえで、現代文学に初めて接する若者の読者に紹介できるレベルまでやさしく丁寧に伝えようとして書かれた、実験的でありつつも実践的な文芸批評の傑作。

目次

1 「両村上」の時代の終わり
 1 行く者と行かれる者の連帯――村上春樹『スプートニクの恋人』
 2 七合目での下山――村上龍『希望の国のエクソダス』
2 九〇年代以降の小説家たち
 3 「先生」から「センセイ」へ――川上弘美『センセイの鞄』
 4 二重の底とポストモダン――保坂和志『季節の記憶』
 5 通俗と反・反俗のはざま――江國香織『流しのしたの骨』
3 時代の突端の小説たち
 6 生の「外側のその向こう」――大江健三郎『取り替え子』
 7 言語・革命・セックス――高橋源一郎『日本文学盛衰史』
 8 脱ポストモダンの小説へ――阿部和重『ニッポニアニッポン』
4 新しい小説のさまざまな展開
 9 その小さなもの(女性形)――伊藤比呂美『ラニーニャ』
 10 「毎日ぶらぶら遊んで暮らしたい」――町田康『くっすん大黒』
 11 想起される〈私〉で大人になること――金井美恵子『噂の娘』
5 よしもとばななと一九九五年の骨折
 12 なぜ小説はお猿の電車を選ぶのか――吉本ばなな『アムリタ』
あとがき
解説
年譜

著者略歴

著:加藤 典洋
加藤典洋(1948・4・1~2019・5・16)文芸評論家。山形県生まれ。1972年、東京大学文学部仏文科卒。国立国会図書館勤務、明治学院大学教授、早稲田大学教授を経て、2014年、同大学名誉教授となる。1985年、最初の評論集『アメリカの影』刊行。97年、『言語表現法講義』で新潮学芸賞、98年、『敗戦後論』で伊藤整文学賞、2004年、『テクストから遠く離れて』『小説の未来』で桑原武夫学芸賞を受賞。ほかに『日本風景論』『日本という身体――「大・新・高」の精神史』『戦後的思考』『日本人の自画像』『僕が批評家になったわけ』『太宰と井伏 ふたつの戦後』『村上春樹の短編を英語で読む 1979~2011』『人類が永遠に続くのではないとしたら』『もうすぐやってくる尊皇攘夷思想のために』『9条入門』『大きな字で書くこと』『オレの東大物語 1966-1972』『9条の戦後史』などの著書がある。

ISBN:9784065319604
出版社:講談社
判型:文庫
ページ数:448ページ
定価:2400円(本体)
発行年月日:2023年06月
発売日:2023年06月12日