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講談社学術文庫

日本酒の世界

著:小泉 武夫

紙版

内容紹介

縄文時代中期のデンプン酒に始まり、農耕の神に捧げた弥生時代、
平安時代から熱燗を嗜み、戦国の世では酒で契りを交わし、江戸時代には新酒を求めて番船競争まで繰り広げる――。
古来、誕生から葬式まで、一生の儀礼にも欠かせないほど愛されてきた日本酒は、
いかに発生、発達してきたのか。
日本書紀や古事記など豊富な史料をもとに、時代ごとの「味」を調べあげ、
日々の暮らしと酒嗜みの変遷も考察。造り酒屋に生まれた発酵学の第一人者だからこそ書けた、日本酒大全!


(内容の一部)
〇酒の肴の<肴>は、平安時代は衣類や武器のことだった!?
〇「ぐい呑み」は「ぐい!」と呑んでで、酒を喉ごしで味わうことから誕生した。この酒器でしずしずすすると、味の深さが半減する!
〇太平の世は辛口が流行り、乱世や不景気では甘口が流行るという論拠は?
〇酒宴の宴会は、神さまのご機嫌取りのために、滑稽な余興がうまれた!
〇酒の匂いを表現する語は70以上!
などなど、史料に基づいた豆知識も豊富に収録。

目次
はじめに
第一章 日本の酒の誕生

第二章 神の酒から人の酒へ
一、神の酒、人の酒
二、風土記と万葉の酒
三、『延喜式』と朝廷の酒

第三章 日本酒の成長と成熟
一、僧坊の酒、酒屋の酒
二、元禄の酒、江戸の酒
三、近代日本酒の誕生

第四章 酒と社交と人生儀礼

第五章 酒商売ことはじめ

第六章 酒を競う

第七章 日本酒と器

第八章 日本酒、その嗜好の周辺

おわりに
学術文庫版あとがき


*本書は1992年11月に中公選書より刊行された『日本酒ルネッサンス 民族の酒の浪漫を求めて』を改題、加筆修正したものです。

目次

目次
はじめに
第一章 日本の酒の誕生
漿果酒のこと/デンプン酒の発見/稲の渡来と酒造り/口噛み酒を造る/体験者は語る/麹酒の登場/日本の麹と酒の独自性

第二章 神の酒から人の酒へ
一、神の酒、人の酒
神に捧げる酒/天甜酒と八塩折之酒/毒酒とは何か/酒の神々/新嘗祭の酒
二、風土記と万葉の酒
集宴の酒と禁酒令/万葉の酒造り/酒粕と上澄み
三、『延喜式』と朝廷の酒
多様な酒造り/上級酒と並級酒/灰利用の謎、白貴と黒貴/高度化する酒造技術/濃醇酒の謎を解く

第三章 日本酒の成長と成熟
一、僧坊の酒、酒屋の酒
美酒「天野酒」/戒律か経営か/量の造り酒屋、質の僧坊酒/近代酒造法の萌芽/パスツールに先んじた低温殺菌法/麹座の利権をめぐって/新興「田舎酒」
二、元禄の酒、江戸の酒
寒造りの完成/進んだ酵母育種法/酒株と株改め/酒が強かった江戸の人たち/灘の酒、伏見の酒
三、近代日本酒の誕生
酒造りの科学/合成酒、アル添酒、三増酒/級別制度から特定名称へ

第四章 酒と社交と人生儀礼
祭りと酒と人/社交と酒と人/桃の節句はなぜ白酒か/端午の節句と元服/結婚の儀礼/厄払いの酒/葬送の儀と酒

第五章 酒商売ことはじめ
市の成立/造り酒屋のはじまり/銘柄(商標)の誕生/酒屋の看板/酒問屋と小売屋の成立/酒醸しの職・杜氏の成立/杜氏の仕事/居酒屋の成立

第六章 酒を競う
樽廻船と番船競争/酒合戦/酒を利く競技/酒の品評会

第七章 日本酒と器
酒造りの器・酒殿と酒蔵/酒を醸す容器/酒を運ぶ器/酒を飲む器/燗鍋のこと/銚子のこと/徳利のこと/酒盃のこと/盃洗と盃台

第八章 日本酒、その嗜好の周辺
酒の肴/甘辛の変遷/酒宴の作法/燗酒のこと/遊び酒/日本人の酔態/酒の功罪とその意識

おわりに
学術文庫版あとがき

著者略歴

著:小泉 武夫
小泉武夫(こいずみ たけお)
1943年福島県の酒造家に生まれる。東京農業大学農学部醸造学科卒業。醸造学、発酵学専攻。農学博士。東京農業大学教授、国立民族学博物館共同研究員、(財)日本発酵機構余呉研究所所長などを経て、現在、東京農業大学名誉教授。著書に『発酵』『超能力微生物』『食あれば楽あり』『納豆の快楽』ほか多数、講談社学術文庫に『漬け物大全』がある。

ISBN:9784065263150
出版社:講談社
判型:文庫
ページ数:256ページ
定価:1000円(本体)
発行年月日:2021年11月
発売日:2021年11月11日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:TDCT