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講談社学術文庫

十二世紀のルネサンス

ヨーロッパの目覚め

著:チャールズ.ホーマー・ハスキンズ
訳:別宮 貞徳
訳:朝倉 文市

紙版

内容紹介

中世は、決して暗黒期ではない。中世とルネサンスの間に、断絶はない――。ルネサンスは1400年代(クァトロチェント)のイタリアより前、12世紀にはすでにさまざまな形で現れていた。ギリシア・ローマ文化を破壊、封印した陰鬱な時代、と捉えられがちな「中世」の真実を、ラテン語復権、大学の誕生などの事蹟から明らかにしてゆく中世の歴史的位置づけを真っ向から問い直した問題作。


中世は、決して暗黒期ではない。中世とルネサンスの間に、断絶はない――。

ルネサンス(古典復興)は1400年代(クァトロチェント)のイタリアで突然起こったのではなく、ヨーロッパ各地でそれに先駆け、すでにさまざまな創造がなされていた。
「中世」というとギリシア・ローマ文化を破壊、封印した陰鬱な時代、と捉えられがちだが、それはまったくの誤解である。とりわけ12世紀頃における文化復興は「中世ルネサンス」と呼ばれ、新鮮な活力にあふれている。


ラテンの古典と詩が息を吹き返し、遊歴詩人たちから聖俗混ざった抒情詩『カルミナ・ブラーナ』が生まれる。ローマ法の復権が見られ、ギリシアをはじめアラビア、スペイン、シチリア、シリア、アフリカと多方面から知識が流れ込み、それは哲学、科学の発展をもたらした。そして七自由学芸(リベラル・アーツ)のさらなる充実、知識の膨張による、必然としての大学の誕生……

「他に例を見ないほど創造的な、造形的な時代」(ホイジンガ)の実像をたどり、中世の歴史的位置づけを真っ向から問い直した問題作。アメリカの中世史家はこの大著で歴史的転換を迫り、従来の暗黒史観に衝撃を与えた。
(C.H.Haskins,The Renaissance of the Twelfth Century,Harvard University Press,1927.邦訳『十二世紀ルネサンス』みすず書房、1989初版、1997新装)

目次

はしがき
第一章 歴史的背景
第二章 知的中心地
第三章 書物と書庫
第四章 ラテン語古典の復活
第五章 ラテン語
第六章 ラテン語の詩
第七章 法学の復活
第八章 歴史の著述
第九章 ギリシア語・アラビア語からの翻訳
第十章 科学の復興
第十一章 哲学の復興
第十二章 大学の起源
原注
解説(朝倉)
あとがき(別宮)
文献書誌

著者略歴

著:チャールズ.ホーマー・ハスキンズ
1870-1937。アメリカ・ペンシルヴァニア生まれの歴史家。16歳でジョンズ・ホプキンス大学を卒業。ハーヴァード大学教授、アメリカ歴史学会会長、アメリカ中世学会会長を務める。
訳:別宮 貞徳
(べっく・さだのり)1927年東京生まれ。英文学、比較文学。上智大学大学院西洋文化研究科修士課程修了。元上智大学教授。
訳:朝倉 文市
(あさくら・ぶんいち)1935年宮崎県生まれ。西洋中世史。上智大学大学院西洋文化研究科修士課程修了。ノートルダム清心女子大学名誉教授。

ISBN:9784062924443
出版社:講談社
判型:文庫
ページ数:424ページ
定価:1280円(本体)
発行年月日:2017年08月
発売日:2017年08月12日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:NHD