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講談社学術文庫

悪魔の話

著:池内 紀

紙版

内容紹介

悪魔。
神の教えと対をなし世界の半分を支配するとされた闇の帝王たち。
その誕生から性格、分類、風貌、材質、総数、そして悪魔と契約する方法まで。
ヨーロッパが育んだ「悪魔」の観念は、どこから生まれどこへ行くのか。
その歴史を追い、人類史上最大の悲劇が生起する過程にまで迫る。
人の世のいたるところにいる悪魔たちを凝視した決定版〈悪魔学入門〉。


【本書の内容】
1 サタン紳士録
2 悪魔学入門
3 闇の力
4 黒と白
5 飛行幻想――魔女狩り1
6 小さな町――魔女狩り2
7 ファウスト博士
8 不思議博物館
9 流刑の神々
10 気の好い悪魔たち
11 魔除け
12 いたるところに悪魔がいる
補遺 ニーチェの妹
あとがき

目次

【1】サタン紳士録
夕方、ひとけない通りで/現代の悪魔紳士/異種合体のうす気味悪さ/悪魔のシンボルとしてのヘビ/醜悪な悪魔像/前身は天使/いま、悪魔は
【2】悪魔学入門
世にも恐ろしい絵/悪魔とは何か/闇を選ぶか、光を選ぶか/一元説と二元説/神はなぜ悪魔を創造したか/悪魔の分類/悪魔の名前/契約は二十年
【3】闇の力
悪魔との記者会見/総数十一兆?/悪魔の材質とは/『神曲』天国篇/天使語と悪魔語
【4】黒と白
黒ずくめの男/黒のもつイメージ/白というフィクション/ボードレールと黒/威厳あふれた黒/紙切れの眩惑
【5】飛行幻想――魔女狩り1
ドイツの小さな町で/魔女の乗り物/「魔男」はいない?/魔女の香油/ワルプルギスの夜/理性が眠る時
【6】小さな町――魔女狩り2
魔女狩り市長/魔女という罪の発明/テンプル騎士団の「犯罪」/無から有は生じない/ヘンゼル・グレーテル神話/グリム童話の中のファイズム/テレビと魔女狩り
【7】ファウスト博士
黒魔術師ファウスト/黄金をつくってほしい/もっとも完璧な錬金術師/悪魔がもち出した条件/二十四年契約/契約か賭か/悪魔の黒い魔術
【8】不思議博物館
 謎めいた国王、ルドルフ二世/悪魔とまじわる皇帝/国王のひそかな楽しみ/悪魔と論争したルター/教会の中にも悪魔がいる/悪魔の家
【9】流刑の神々
 神々の悪魔化/かくれ家に住む神/追われた神、河童/ハイネと柳田国男/神々の衰頽
【10】気の好い悪魔たち
 影をなくした男/悪魔の足あと/橋造りが得意/悪魔もヘマをする/大建造物は神への挑戦/恩知らずは人間の方/悪魔も驚く珍品
【11】魔除け
 愛の霊薬/マンドラゴラの根かワニの脳髄か/媚薬を飲ませる方法/ゴーレムとオドラデク/ジャンボ機操縦席のお礼/さまざまな悪魔祓い
【12】いたるところに悪魔がいる
最後の審判/禁止された闇の王たちの肖像/グリューネヴァルトの見た闇/ボスの奇怪な世界/ゴヤの辛辣な目/ゴヤの悪夢の世界/ゴーゴリとロシアの悪霊たち
【補遺】ニーチェの妹
いたるところに悪魔がいた/ニーチェの遺稿/エリーザベトの自負と欲望/ニーチェの構想/悪を胚胎するもの
【あとがき】

著者略歴

著:池内 紀
1940年、兵庫県姫路市生まれ。1963年、東京外国語大学ドイツ文学科卒業。1965年、東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。神戸大学助教授、東京都立大学教授、東京大学教授を経て、1996年より文筆業。
○著書:
『風刺の文学』(亀井勝一郎賞)
『ウィーンの世紀末』
『ザルツブルグ』
『恋文物語』
『少年探検隊』
『海山のあいだ』(講談社エッセイ賞)
『幻獣の話』
『ぼくのドイツ文学講義』岩波新書。
『とっておきの美術館』
『見知らぬオトカム』
『モーツァルト考』
『カフカのかなたへ』
『ゲーテさんこんばんは』(桑原武夫学芸賞)
『カフカの生涯』『ある女流詩人伝』

○訳書:
『カフカ短編集』『カフカ寓話集』『ファウスト』全2巻(毎日出版文化賞)、『カフカ小説全集』全6巻(日本翻訳文化賞)などのほか、著作選集『池内紀の仕事場』全8巻がある。

ISBN:9784062921541
出版社:講談社
判型:文庫
ページ数:232ページ
定価:840円(本体)
発行年月日:2013年02月
発売日:2013年02月13日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:DSA