講談社現代新書
織田信長の城
著:加藤 理文
内容紹介
本書は、現段階で判明する、小牧山城、岐阜城、安土城の姿を、文献史料や発掘調査資料等から検討し、確実な部分と不明確な箇所を再確認し、その真実の姿を明らかにしようとするものである。小牧山城から始まる新たな城づくりによって信長は何を城に求め、城はどう変化したのか。統一政権樹立に向けて、城をどう利用しようとしたのか。金箔瓦の使用や天守建築の規制・許認可等、戦国の覇王がめざした城づくりのすべてを解き明かす。
小牧山城、岐阜城、安土城――
のちに天皇に対し、改元と譲位を要求した織田信長が、
「権力の象徴」に込めていた政治的意図とは!?
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南蛮マントを羽織り、颯爽と佇む高貴な美男。
風貌は、長身で痩せ形、色白で面長、薄い髭と甲高い声―。
これがほぼ一般に定着している
戦国の覇王・織田信長のイメージではないだろうか。
実際、NHK大河ドラマ、映画等映像で描かれる信長は、
ほぼこのイメージを踏襲している。
この信長像を創り上げたのは、長興寺や神戸市立博物館に残る肖像画、
宣教師ルイス・フロイスのこと細かな描写からであった。
戦国の世を統一に導いただけでなく、巨大な水堀に囲まれ、
あたりを睥睨するかのように聳え立つ天守のある城のイメージを
造り上げたのもまた、信長であった。
従来、安土城こそが近世城郭の嚆矢で、以後の城郭建築の礎と考えられてきた。
だが、近年の発掘調査の進展や城郭研究の深化によって、
信長はすでに永禄六年(一五六三)の小牧山築城段階から、
城の革命に乗り出そうとしていたことが明らかになってきた。
本書は、現段階で判明する、小牧山城、岐阜城、安土城の姿を、
文献史料や最新の発掘調査資料等から検討し、
確実な部分と不明確な箇所を再確認し、
その真実の姿を明らかにしようとするものである。
小牧山城から始まる新たな城づくりによって
信長は何を城に求め、城をどう変化させたのか。
統一政権樹立に向けて、城をどう利用しようとしたのか。
金箔瓦の使用や天守建築の規制・許認可を含む、
信長の城郭政策の具体的内容に踏み込むことによって、
戦国の覇王がめざした城づくりのすべてを解き明かす。
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【本書のおもな内容】
序章 尾張統一以前の城
第1章 守護所・清須への入城
第2章 すべては小牧山城から始まった
第3章 政治機能を拡充させた岐阜城
第4章 畿内掌握のために築かれた城
第5章 統一のテーマパーク安土城
第6章 信長の城郭政策
終章 信長による統一政権の姿
目次
序章 尾張統一以前の城
織田信長の誕生/記録に見る勝幡城の姿/勝幡城から古渡城、そして末森城へ/家督相続と信長の那古野城 ほか
第1章 守護所・清須への入城
清須城の歴史/織田信雄の清須城/信雄改修前の清須城/信長の清須入城 ほか
第2章 すべては小牧山城から始まった
小牧築城/発掘調査の成果/徳川家康の改修/大手口脇に残る巨石の謎/山麓の御殿/城下町への集住/信長の小牧山城 ほか
第3章 政治機能を拡充させた岐阜城
稲葉山城攻略と岐阜入城/発掘された山麓御殿とフロイスの記録/山科言継が見た岐阜城/信長時代の岐阜城下町の様相 ほか
第4章 畿内掌握のために築かれた城
上洛と二条新邸/重要視された宇佐山城/佐和山城と元亀騒乱/武田氏滅亡と一向一揆勢力の殲滅/安土築城に向けての施策 ほか
第5章 統一のテーマパーク安土城
発掘成果と『信長公記』から見た主要部/検出された二ノ丸東溜りの構造/天守の内部と障壁画/「蛇石」はどこに/城郭専用瓦の成立/日本初の「全山総石垣」/家臣の屋敷地 ほか
第6章 信長の城郭政策
信長の破城令の展開/信長の築城命令/織田一門衆の城 ほか
終章 信長による統一政権の姿
信長政権が行き着く先/天皇に改元と譲位を要求/天皇を傀儡とする政権運営をねらう/潰えた信長の野望 ほか