講談社選書メチエ 586
〈階級〉の日本近代史
政治的平等と社会的不平等
著:坂野 潤治
紙版
内容紹介
武士の革命としての明治維新。農村地主の運動としての自由民権運動。男子普通選挙制を生んだ大正の都市中間層……。しかし、社会的格差の是正は、自由主義体制下ではなく、日中戦争後の総力戦体制下で進んだというジレンマをどうとらえればよいのか。「階級」という観点から、明治維新から日中戦争勃発前夜までの七〇年の歴史を、日本近代史の碩学が描き出す。(講談社選書メチエ)
武士の革命としての明治維新。農村地主の運動としての自由民権運動。男子普通選挙制を生んだ大正の都市中間層……。しかし、社会的格差の是正は、自由主義体制下ではなく、日中戦争後の総力戦体制下で進んだというジレンマをどうとらえればよいのか。
「階級」という観点から、明治維新から日中戦争勃発前夜までの七〇年の歴史を、日本近代史の碩学が描き出す。
目次
はじめに
第一章 「士族」と「農村地主」
1 社会革命としての明治維新
2 四〇万士族と九〇万地主
3 士族と地主の協調
第二章 農村地主の時代
1 「民力休養」と格差の固定化
2 軍備縮小か大衆課税か?
3 保守化と大きな政府
4 政治的安定と社会的不安定
第三章 資本家の時代
1 地主議会と普通選挙
2 普通選挙制と「私有財産制」
3 「資本主義」か「民本主義」か、「大きな政府」か「小さな政府」か
第四章 階級の多様化と政治の分裂
1 階級分裂と軍ファシズム
2 挙国一致、デフレ脱却、国際的孤立
第五章 「戦争」と「独裁」なき「平等」
1 日中戦争前の「平等」の軽視
2 「戦争」なしの「平等」
おわりに