講談社学術文庫
日本精神分析
著:柄谷 行人
紙版
内容紹介
「日本精神分析」というエッセイは、日本の文化に関する考察である。私はいつも、日本人の経験を、自民族中心主義に陥ることなく、普遍的に意味をもつようなかたちで提示したいと思っていた。しかし、ある意味で、本書のエッセイはすべて、そのような姿勢で書かれている、といえる。ゆえに、本のタイトルを「日本精神分析」としたのである。――〈「学術文庫版へのあとがき」より〉
近代国家を乗り越える道筋を示す画期的論考。資本、国家、ネーションの三位一体が支える近代国家。芥川、菊地、谷崎の短編を手がかりに、近代日本のナショナリズムと天皇制、民主主義、貨幣を根源的に問う。
目次
第1章 言語と国家
第2章 日本精神分析――芥川龍之介「神神の微笑」
第3章 入れ札と籤引き――菊池寛「入れ札」
第4章 市民通貨の小さな王国――谷崎潤一郎「小さな王国」