手紙に想いを託した王朝時代の人々は、現代とは比べものにならないくらい多くの手紙を綴っていた。恋の成就のために、文章に凝り、タイミングを図り、工夫を凝らした手紙から王朝人の世界を探る。
〈目次〉
はじめに
第一章 王朝の危険な手紙たち
危険な送信／誤送信恐怖！／手紙の自己防衛／手紙のプライバシー／悲しい空白／妖しい恋とずれた手紙／匂宮の手紙強奪事件
第二章 手紙を運ぶ人たち
文使いの職務内容／大切な信頼関係／美形でスリムな文使い／王朝恋文集と文使いたち／光源氏の独り言／瞬間必殺技とモバイル
第三章 王朝手紙の作法入門
手紙のポイント／返事を待っている！ 使い／返信を超えたスピード／手紙の日本語チェック／心を込めた短い手紙の姿／短い手紙の二重奏／恋人たちの一言メッセージ
第四章 手紙の作成機器
王朝文房具の基礎知識／大きな大きな硯箱／瞬間手紙作成機器の硯箱／硯箱の下の悲しい溝
第五章 王朝の恋文技術
手紙と恋愛／勝利の手紙攻撃／後朝の手紙は速攻が命／待つことのつらさ／ひどい仕打ち／速すぎた後朝の手紙／速度と思いやりの悲しい関係
第六章 王朝の遠距離手紙
思いを飛ばす遠距離手紙／距離を越えて生まれた絶唱／遠距離手紙の必殺座／悲しみの六条御息所／距離をこえたせつない思い
第七章 手紙の華麗な装飾
手紙を包むぬくもり／季節のハーモニー／蛇！ の文付枝／紅い紙で性格判断／狂おしい秘密の恋と紅色／手紙から裏切られた匂宮
第八章 手紙の時間と命
手紙のタイムラグ／遅刻した！ 文使い／怒りを溶かした架け橋／中年からの恋／危ない一夜／時間から裏切られた手紙／暗闇を生み出した手紙／時間を飛ぶ手紙たち／不思議な老女／手紙と命の炎
あとがき
