角川ソフィア文庫
フェルメール 作品と生涯
著:小林 頼子
紙版
内容紹介
17世紀オランダで活躍したフェルメール。宗教画や神話画から転向し、勃興したばかりの市民階級が求める風俗画の制作へと乗り出した画家は、《牛乳を注ぐ女》《真珠の耳飾りの少女》といった名作を手がけていく。現実のようでいて現実でない魔術的な光と空間の描写は、いかにして生まれたのか。全作品をカラーで収録し、その真筆性をめぐる議論とともに、様式論を一冊に凝縮。政治や絵画市場などの背景に迫る補論を付した増補版。
目次
まえがき
序──フェルメールは、なぜ、かくも愛されるのか
第一章 フェルメールの生涯
第二章 物語画家から風俗画家へ
物語画家としての出発
政治的変化と風俗画家への転向
本格的な風俗画に向けて
風俗画への本格的な取り組み
第三章 洗練、そして完成
一六五〇年代末から六〇年代への変化
洗練の様式──複数の人物のいる構図
洗練の様式──単身像の構図
第四章 模索の始まり
男の居場所
ファン・ミーリス風へ
模索の時代
第五章 都市へ向けられた眼差し
フェルメールの都市景観画
《デルフト眺望》にみる工夫
《小路》はなぜ描かれたのか
新版補論 様式選択の背景
主要参考文献・フェルメール関連読書案内
旧版あとがき
新版あとがき