役割語の世界への招待状
第一章 博士は〈博士語〉をしゃべるか
1 お茶の水博士
2 天馬博士
〈博士語〉をしゃべらない博士
〈博士語〉は〈老人語〉?
「現実」とのずれ
3 〈博士語〉をさかのぼる
手塚治虫の初期作品
日本SFの祖・海野十三
『少年倶楽部』
『立川文庫』と演芸速記本
戯作の世界
『四谷怪談』から
江戸語の形成
〈博士語〉〈老人語〉の起源
第二章 ステレオタイプと役割語
1 ステレオタイプって何
小説家の悩み
ステレオタイプの研究
2 「現実」対「仮想現実」
役割語と位相・位相差
現実と役割語との距離
3 文化・メディアとステレオタイプ
サブタイプ化
二重処理モデル
分離処理モデル
4 ヒーローの旅
第三章 〈標準語〉と非〈標準語
1 〈田舎ことば〉はどこの言葉か
「夕鶴」から
〈田舎ことば〉の起源
2 〈標準語〉の構造と役割語
役割語としての〈標準語〉
話しことばと書きことば
役割語度
役割語度と自己同一化
3 〈標準語〉の成立
〈標準語〉以前
言文一致運動と標準語
マスメディアと〈標準語〉
転落する〈上方語〉
4 大阪人・関西人キャラクターの変遷
パーやん
大阪人・関西人のステレオタイプ
大阪人・関西人のルーツ
近代マスメディアの中の大阪人・関西人
好色・暴力と大阪人・関西人
ステレオタイプの変容
第四章 ルーツは〈武家ことば〉――男のことば
1 〈標準語〉の変化
雨ふり
役割語度の変化
2 〈男性語〉の歴史
〈書生ことば〉
「~たまえ」の歴史
ボクとキミ
ボクとオレ
3 仮面(ペルソナ)としての役割語
第五章 お嬢様はどこにいる――女のことば
1 お蝶夫人
2 言葉の性差
文法的特徴から
男女専用表現と傾向的表現
3 『浮世風呂』の女たち
4 江戸語と近代〈女性語〉
5 「てよだわ」の発生
『浮雲』の母と娘
非難されていた「てよだわ」
6 「てよだわ」世にはばかる
メディアとしての女学校
小説に見る「てよだわ」
7 「てよだわ」なおも広まる
女学校の外へ
全国への拡散
8 「てよだわ」の衰微
戦後の〈女性語〉の変化
「~てよ」の文法
少女と〈お嬢様ことば〉
役割語としての〈男性語〉〈女性語〉
第六章 異人たちへのまなざし
1 〈アルヨことば〉
2 異人の分類
3 言語の投影
さまざまな投影
黒人と〈田舎ことば〉
4 〈アルヨことば〉の原型と展開
ピジンの適用
Yokohama Dialect
アリマス系とアル系
中国人へのまなざし
「のらくろ」から
5 役割語を超えて
附録 役割語の定義と指標
用例出典一覧
参考文献
あとがき
現代文庫版あとがき
解説……………田中ゆかり
語彙索引
人名・題名索引
事項索引