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岩波現代文庫 学術456

ヴァイマル憲法とヒトラー

戦後民主主義からファシズムへ

著:池田 浩士

紙版

内容紹介

第一次世界大戦後の戦後民主主義を体現するヴァイマル憲法の下で、ヒトラーは合法的に政権を獲得した。大統領緊急命令条項による政治の機能不全などヴァイマル共和国の「影」の部分を冷静に描くとともに、ドイツの人びとを魅了したナチズムの本質を抉り出す。戦争への反省が蹂躙されつつあることに警鐘を鳴らす「後章」を新たに収録。

目次

Ⅰ もう一つの戦後民主主義とドイツのファシズム
 はじめに―戦争とファシズムの世紀
 1 一九三三年一月三〇日―ヒトラー内閣の誕生
 2 ナチスは合法的に国家権力を掌握した
 3 革命運動としてのナチズム

Ⅱ ドイツの敗戦、もっとも民主的な憲法
 はじめに―民族・国家・国民
 1 ドイツ革命からヴァイマル共和国へ
 2 ヴァイマル憲法と最初の戦後民主主義
 3 匕首伝説の説得力

Ⅲ 戦争する国をボランティアが担う
 はじめに―ファシズムとは何か?
 1 国民はなぜナチズムを支持したのか?
 2 自発性と社会参加―善意とやる気の組織化
 3 「労働奉仕」の法制化と義務化

Ⅳ 死と政治
 はじめに―ヴァルハラという靖国神社
 1 ヒトラー政権はまず最初に誰を抹殺したか?
 2 国家儀礼から戦争国家へ―ファシズム政治の大道
 3 ボランティア労働からホロコーストまで

Ⅴ 遥かな国の遠い昔ではなく
 はじめに―ふたたびファシズムとは何か?
 1 ナチス・ドイツと歴史認識
 2 二つの憲法、二つの戦後民主主義
 3 「戦争のできる国」から「戦争する国」へ

後章 憲法とヒトラーの一世紀後に
 1 なぜ、あの歴史が現実となったのか?
 2 あの歴史はどう反省され、どう生かされようとしたのか?
 3 そのあとに生きるものは、どの道を歩むのか?

 註
 あとがき
 岩波現代文庫版あとがき

著者略歴

著:池田 浩士
池田浩士(いけだ ひろし)
1940年生まれ.慶応義塾大学大学院博士課程修了.1968-2004年京都大学,2004-13年京都精華大学に在職.専攻は現代文明論,ドイツ文学,ファシズム文化研究.主な著書に,『虚構のナチズム──「第三帝国」と表現文化』『ボランティアとファシズム──自発性と社会貢献の近現代史』(以上,人文書院),『ドイツ革命──帝国の崩壊からヒトラーの登場まで』(現代書館),『増補新版 抵抗者たち──反ナチス運動の記録』(共和国),『池田浩士コレクション』全10巻(インパクト出版会)などがある.

ISBN:9784006004569
出版社:岩波書店
ページ数:370ページ
定価:1540円(本体)
発行年月日:2022年11月
発売日:2022年11月17日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:NHD
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1DFG