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岩波現代文庫 学術452

草の根のファシズム

日本民衆の戦争体験

著:吉見 義明

紙版

内容紹介

日中戦争、アジア太平洋戦争を引き起こし、日本を崩壊させた天皇制ファシズム。その被害者とされてきた民衆がファシズムを支えていたこと、そして戦争末期の悲惨な体験から戦後デモクラシーが生まれたことを民衆が残した記録から明らかにしてゆく。従来の戦争観に根本的転換をもたらした名著、待望の文庫化。【解説=加藤陽子】

目次

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第1章 デモクラシーからファシズムへ
 第1節 戦争への不安と期待
 第2節 民衆の戦争
 第3節 中国の戦場で
  1 上海戦・南京戦・徐州戦・武漢戦
  2 華北の戦いと東北出身兵士たち
  3 華南の戦場で

第2章 草の根のファシズム
 第1節 ファシズムの根もと
  1 民衆の不満
  2 ファシズムの媒介者・受容者
  3 占領地日本人の状況
  4 アジア太平洋戦争下の出征・渡航
 第2節 民衆の序列
  1 沖縄県人
  2 アイヌ
  3 ウィルタとチャモロ人
  4 朝鮮人
  5 台湾人

第3章 アジアの戦争
 第1節 インドネシアの幻影
  1 運送業者から横須賀重砲部隊へ
  2 在留邦人からスマトラ軍政支部へ
  3 サイパン島渡航前に近衛騎兵連隊へ
 第2節 ビルマの流星群
  1 自由労働者からビルマ防衛軍兵備局へ
  2 小間物商から歩兵第一一四連隊へ
  3 日通運送店員から烈兵団通信隊へ
 第3節 フィリピンの山野で
  1 機帆船船員から戦車第二師団工兵隊へ
  2 マニラ日本人会職員から主婦に
  3 ホワイト・カラーから菅兵団砲兵大隊へ
 第4節 再び中国戦線で
  1 高等女学校教員から迫撃第四大隊へ
  2 傘屋から北支派遣軍宣撫官へ
  3 種畜場職員から歩兵第二三二連隊

第4章 戦場からのデモクラシー
 第1節 ひび割れるファシズム
 第2節 国家の崩壊を越えて
  1 一九四五年八月一五日
  2 確立する戦後精神と崩壊せざる意識

 あとがき
 岩波現代文庫版あとがき
 解説 民衆の意識を研究史に刻む……加藤陽子
 参照文献一覧

著者略歴

著:吉見 義明
吉見義明(よしみ よしあき)
1946年生まれ。1970年東京大学文学部卒業、1973年東京大学大学院人文科学研究科修士課程中退。中央大学名誉教授。日本近現代史。主著に、『買春する帝国――日本軍「慰安婦」問題の基底』(岩波書店、2019年)、『焼跡からのデモクラシー――草の根の占領期体験(上・下)』(岩波現代全書、2014年)、『日本軍「慰安婦」制度とは何か』(岩波ブックレット、2010年)、『毒ガス戦と日本軍』(岩波書店、2004年)、『従軍慰安婦』(岩波新書、1995年)、『従軍慰安婦資料集』(編集・解説、大月書店、1992年)など。

ISBN:9784006004521
出版社:岩波書店
ページ数:340ページ
定価:1580円(本体)
発行年月日:2022年08月
発売日:2022年08月12日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:NHF
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FPJ