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岩波ジュニア新書 824

寿命はなぜ決まっているのか

長生き遺伝子のヒミツ

著:小林 武彦

紙版

目次

    はじめに

第1章 赤ちゃんも老化している!?
     ヒトはどのように死ぬのか?
     老化しない生物もいる?──細菌と原生生物
     不死身な生きものプラナリア
     樹木という生き方
     一つ一つの細胞が老化する──ヘイフリックの実験
     なかなか老化しない細胞① 幹細胞、神経細胞
     なかなか老化しない細胞② 生殖細胞
     卵や精子も老化する
     細胞が老化するとどうなる?
     「プログラム仮説」と「エラー蓄積仮説」
     死滅する神経細胞
     脳の老化の原因
     ヒト早期老化症(早老症)
     個体の寿命は延ばせるの?
     ホルモンと個体老化
     閉経後の三〇年は「余計」ではない
     おばあちゃん仮説
     ホルモン治療で若返る?
     個体の死と細胞の死
     なぜヒトは死ぬのか?

第2章 いのちの回数券はある?
     人生はカウントダウン?
     ちょっと復習──細胞分裂とDNAの複製
     DNA合成酵素の二つの「くせ」
     それでも変異はたまっていく
     iPS細胞も老化する
     染色体の端っこ問題
     テロメラーゼで元に戻す
     テロメアは分裂回数を数える
     テロメアは唯一のいのちの回数券か?

第3章 DNA修復という若返り術
     メンデルと遺伝子──遺伝子って、何?
     遺伝子はDNAでできている──大腸菌はえらい!
     遺伝子は「情報」、DNAは「もの」
     意外とか弱いDNA
     発電所ミトコンドリアの功罪
     強い味方! DNA修復機構
     細胞周期を止めて傷を修復
     修復機構の破たんは、病気を引き起こす
     ゲノムの守護神p53
     DNAの傷とガン化
     ゲノムの傷と細胞の老化
     新しい細胞に渡す「きれいなゲノム」
     それでも傷つくゲノム──修復の限界

第4章 長生き遺伝子の解明
     「長生き遺伝子」はあるのか?
     環境も寿命を延ばす
     ヒトの長寿遺伝子の探索
     長寿遺伝子の正体
     モデル生物を使った長寿遺伝子の探索
     マウスは老化研究に向いていない!
     三〇年生きるハダカデバネズミ
     老化研究に最適な生きもの① ハエ、線虫
     老化研究に最適な生きもの② 酵母菌
     ゲノムには壊れやすいところがある
     巨大反復配列リボソームRNA遺伝子
     リボソームRNA遺伝子は裸の王様!?
     遺伝子増幅機構の正体
     Sir2とFob1は寿命に関わる遺伝子である
     rDNAが寿命を決めている!
     ヒトでもrDNAは老化速度を決めている?
     サーチュインとrDNA
     細胞老化のrDNA仮説
     長寿遺伝子を活性化させるには
     NMNは夢の若返り薬か?

終章 寿命はなぜ決まっているのか
     老化がなければ人類絶滅!?
     寿命が延びると幸せか?
     老化は必要?
     老化はガンを防ぎ、生きものを進化させた!
     高齢になるとガンになるのはなぜ?
     ヒトの寿命は操れるか?
     最後はガンと認知症との戦いか?
     人類は長寿社会を維持できるか
     少子化を少しでもくい止めるには
     科学にウルトラCを期待しない
     寿命はなぜあるのか

    おわりに

    キーワード

著者略歴

著:小林 武彦
小林武彦(こばやしたけひこ)
1963年,神奈川県生まれ.東京大学分子細胞生物学研究所ゲノム再生研究分野教授.九州大学大学院医学系研究科修了.米国ロッシュ分子生物学研究所および米国国立衛生研究所,基礎生物学研究所,国立遺伝学研究所を経て,現職.専門は,分子遺伝学,ゲノム再生学,分子生物学.趣味は,浜辺の観察.学生時代は演劇部に所属,役者担当.世の中の不思議なことにはすべて興味を持ち,忙しくてもヒマそうにふるまうことを得意とする.細胞老化を研究しながら「学生のあり余るエネルギーを吸収して,自分が若返る方法があればいいのに」と思う毎日.

ISBN:9784005008247
出版社:岩波書店
判型:新書
ページ数:240ページ
定価:840円(本体)
発行年月日:2016年02月
発売日:2016年02月19日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:VFD