序 章 富士山はいつ噴火しても不思議ではない
1 富士山は若い活火山
火山の三分類と活火山
火山の年齢と寿命
2 富士山の噴火は平均三〇年に一回
歴史時代の噴火
地質時代の噴火
3 いつ起こってもおかしくない次の噴火
異常に長い最近の休止期間
密かに続く地下深部のマグマ活動
次章以降の内容
第1章 富士山が噴火したらどうなるか
1 富士山は噴火のデパート
溶岩流
火砕流
融雪型火山泥流
岩塊や火山灰を噴き出す爆発的噴火
2 首都圏に及ぶ被害
噴火現象により異なるハザードの影響範囲
首都圏も危うい大規模な爆発的噴火
3 滅多に起こらない大規模噴火
噴火の規模の表わし方(VEI)と爆発的噴火
富士山特有の噴火規模表示
4 美しい富士山がみられるのは奇跡的
噴火がなくても起こる山体崩壊
巨大な噴火がもたらす地形変化
端正な富士山を愛でた平安人
コラム1 火山岩の種類とマグマ
第2章 古記録に記された大噴火
1 プリニー式噴火の由来
2 古記録でわかる宝永噴火の推移
目撃された噴火開始
日本のポンペイ――須走の悲劇
宝永火口と宝永山の形成
火口からの距離に応じた被害の様相
江戸市中における状況
3 『日本三代実録』が伝える貞観噴火の推移
詳しい報告が朝廷に届けられた
誇張された「異火の変」
ハワイで再現された貞観噴火
4 延暦の噴火
5 古記録はどこまで信頼できるか
ヴェスヴィオ山はいつ噴火したか
奈良時代から平安時代にかけての噴火
熱心に記述された貞観噴火と無視された承平の噴火
江戸時代以降は詳細な記録
第3章 大地に残る噴火の歴史をさかのぼる
1 噴火の歴史を紐解く手法
野外調査
噴出物の年代を決める
放射性年代測定法
コラム2 カルデラ噴火
2 地質調査でわかった四階建ての富士山
富士山に先駆する火山活動
富士山としての火山活動
順調ではなかった成長
3 端正な富士山の形成
使われなくなった山頂火口
歴史時代の噴火
4 側火口の分布が示すプレートテクトニクス
コラム3 特異なプリニー式噴火――宝永噴火
第4章 なぜ噴火が起こるのか
1 噴火の区分
爆発的マグマ噴火
マグマ水蒸気噴火
水蒸気噴火
溢流型マグマ噴火
2 噴火のもとはマグマ
マグマがつくられる場所は限定的
マグマ生成のメカニズムと沈み込み帯のマグマ
マントルでつくられる初生玄武岩マグマ
3 マントルから地殻へ
水を含んだマグマ
マグマの上昇と地殻物質の密度
4 噴火のメカニズム――マグマ溜まりから噴火へ
マグマ溜まりからの上昇
爆発的噴火と溶岩流噴火を分けるもの
第5章 富士山のマグマ
1 富士山のマグマの特徴
2 マグマ溜まりの深さとマグマの化学組成変化
3 マグマ溜まりを探る
地殻変動量からマグマ溜まりを調べる
地震を使う
電磁気を使う
噴出物を調べる
コラム4 新鮮な噴出物を求めて――秋田駒ヶ岳一九七〇年噴火
4 富士山の深いマグマ溜まり
複雑な富士山の下の地殻
5 玄武岩マグマと分化したマグマとの遭遇
稀な分化マグマの活動
第6章 噴火の予測はどこまで可能か
1 長・中期の噴火予測
不規則な火山噴火
階段ダイアグラムと噴火予測
2 噴火の短期予測
地震観測
地殻変動観測
その他の観測手法
3 富士山と地震
深部低周波地震の活発化
宝永地震がトリガーした宝永噴火
4 富士山の噴火予測
噴火を観測したことのない富士山
5 推移予測には少なくとも数千年間の噴火履歴を参照すべき――近年の噴火事例からの教訓
第7章 富士山噴火に備える
1 火山ハザードマップの整備
富士山火山ハザードマップの誕生
富士山火山ハザードマップの改定
2 広大な想定火口領域
3 ハザードごとに異なる影響範囲
溶岩流の影響範囲
火砕流の影響範囲
大きな噴石の到達範囲
融雪型火山泥流
火山ハザード統合マップ
4 地図には表現できないハザード
有毒火山ガス
噴火にともなう地震
5 広域に及ぶハザード
降下テフラの特徴
降下テフラに備える
6 富士山火山避難基本計画
避難対象エリア
噴火警戒レベルと避難
溶岩流からの避難
降灰対応
7 次の噴火はどのようなものか?
参考文献