はじめに
序 章 身近になった子どもの「バイリンガル環境」
「移動」の時代から「移住」の時代へ?
バイリンガル児の育つ状況も変化?
どの言語で子どもに教育を受けさせるか
日本で育つ外国人の子どもたちは?
失われつつある「もう一つの言語」とどう向き合う?
バイリンガルの壁をどう越える? 言語発達と環境の関係性
第1章 ことばはこうして使えるようになる――言語発達環境の重要性
言語発達と環境
環境の影響は乳幼児期に最も大きい
言語発達と個人差
家庭での「対話」が言語発達を支える
量だけでなく、質も大切
話しかけ方の良し悪しは何で決まる?
バイリンガル児と養育者との会話
家庭での会話は喜怒哀楽のコミュニケーション
母語での会話から感情を理解する
三〇〇〇万語の格差――貧困の問題
会話のことばの発達
単語から複数語の会話に
第2章 1+1=2ではない――バイリンガル環境での言語と認知の発達
バイリンガルの言語発達――三歳までとそれ以降
二言語発達にベストなタイミングがある?
臨界期と敏感期
早期の二言語発達
語彙数が追いつくのは六九歳!
教育言語の影響
メタ言語力
バイリンガル環境で切り替えが得意になる?
認知症になるのが平均で四年遅いという結果
第3章 早期バイリンガル教育の落とし穴――日常言語と思考・学習の言語の狭間で
早期のバイリンガル教育
バイリンガル教育を選択する理由とは
ネイティブレベルの英語力をつけるには
母語の発達を確実に――母語ではない言語で就学前教育を受ける場合の注意点その①
気持ちを伝えることばの発達――母語ではない言語で就学前教育を受ける場合の注意点その②
言語発達と心の発達は相互に影響し合う
バイリンガルと心の理論の発達
就学後の学習につなげられるか――母語ではない言語で就学前教育を受ける場合の注意点その③
会話は非言語的な手がかりも豊か
学習の理解は言語の持つ情報がベースになる
学習言語の構造
早期バイリンガル教育と学習言語の発達
第二言語での教育をできるだけ早く始めたほうが良い?
早期バイリンガル教育と子どもの言語発達
第4章 効率の良い言語獲得を目指して――二言語相互発達の理論
四年生のスランプ(fourth grade slump)
「リテラシー」の発達
学習言語と生活言語は別物
学習言語能力には何が含まれる?
生活言語から学習言語への連続性
学習言語の発達は言語間で相互依存する
音韻認識が読解力を支える
似ていない二つの言語どうしでも、相互依存的発達が起こる?
効率の良い言語獲得とは――学習言語習得を見据えて
バイリンガル児の言語獲得における「効率」とは
第5章 「言語マイノリティ」という壁
言語マイノリティとは
言語マイノリティの子どもたち
日本生まれ日本育ちの外国人の子どもたち
日本生まれのブラジル人の子どもたちの言語発達
家庭言語が少数派言語(言語マイノリティ)のバイリンガル児
言語マイノリティ児童が抱える言語獲得の困難さ
経済的な困窮
家庭言語の発達が社会言語の発達を促進する
言語マイノリティ児童と「継承語」
海外で言語マイノリティとして日本語を学ぶ日本人の子どもたち
個人内での強い言語と弱い言語
継承語使用と認知的負荷の関係
あいまいさを避ける
非定型への抵抗と言語構造の縮小
継承語学習の認知的負荷を教育者が理解すること
第6章 バイリンガルと障害
発達障害とバイリンガル
バイリンガル発達障害児の言語発達
バイリンガル発達障害児の認知能力(実行機能)
バイリンガル児と言語障害をはじめとする発達障害
特別支援教育を受けるバイリンガル児
言語発達の遅れと発達障害の見立て
第一言語の獲得困難
第二言語の習得の遅れと学習困難
家庭の貧困も
バイリンガル児の言語の発達と心の発達との関係
文型の理解と心の理解の関係
言語と心の発達の遅れが問題行動の原因にも
学校にできること
複数回のアセスメント
日本語指導の長期継続
保護者としてできることは何か
これからの支援について考える
多様性の理解と促進に向けて
バイリンガル児の言語力とウェルビーイング
母語(継承語)の言語力と情緒的ウェルビーイング
おわりに
参考文献