はじめに
序 章 グローバル格差の感情
1 「白人の国」への羨望
なぜこんなにも苦しいのか
夢は「白人の国」で暮らすこと
2 理解し合わないままの共存
なぜ白人はこんなひどいことをするのか
スマートフォンで知る「不条理」な現実
3 不均衡なグローバリゼーション
国際協力の力学
本書の構成
第1章 請い、与えられる者の日常
1 不足のなか「自立」する術
2 若者の大量失業化
出稼ぎに行きたくない
学歴に見合う仕事がない
稼ぎがない友人を助ける
3 薄利の農村ビジネス
4 公務員になりたい
第2章 農村の国際詐欺師たち
1 名声と消費のエンターテイメント
若い詐欺師の祝宴
ご祝儀散財のショータイム
2 デジタル世代による識字の活用
オンライン詐欺の台頭
若い詐欺師たちのビジネスネットワーク
3 好まれるアメリカ人とドル
アメリカの情報弱者と情報通の詐欺師たち
同情できない遠く離れた人間
4 格差が育む拝金主義
白人のカネと「ミリオンダラー」
高校教師の憂い
5 「正しくなさ」が薄まるとき
第3章 ゴリアテに立ち向かうダビデ
1 反白人感情
2 「新植民地主義」に対する愛国主義運動
経済成長から内戦へ
ゴリアテに立ち向かうダビデ
3 武装勢力と資源をめぐる西側諸国の「陰謀」
なぜ自分たちの国は混迷しているのか
フランス軍と国連平和維持軍の追放
4 別格の「白人」としてのロシア
第4章 陰謀論に共感する
1 メディアの民主化
欧米メディアへの不信
メディアの信頼性とはなにか
2 フランスの金融帝国主義
植民地通貨「CFAフラン」の継続
「保護者」としての正当化
新たな共通通貨誕生の頓挫
3 ディアスポラ活動家による代弁
アフリカ連合の誤算
解任事件の影響
アフリカ諸国の政治家と西側諸国の寄生関係
4 好感を勝ち取った中国とロシア
踏み台にされた西側諸国
開発援助に対する内部批判
第5章 「俺たちは腹が減っている」
1 食料危機のグローバルメカニズム
バイオ燃料拡大と穀物価格の高騰
世界金融危機と穀物価格の高騰
2 貿易の自由化による食文化の変容
小麦と米の輸入の増加
グローバルな生産性競争
3 一次産品輸出による自立の夢想
カカオの供給過多と価格暴落
政府とグローバル企業の攻防
4 政治家たちの憂い
人口ボーナスの危機
自動化(オートメーション)時代の到来
第6章 自分たちの農法を忘れた人びと
1 失われた技術
持続可能で緻密化された園芸の技術
緑の革命による在来農法の瓦解
2 農業の陳腐化
価値を失った近代農業
緑の革命による「農業の粗放化」
緑の革命がもたらした「お金の懇願」
3 二一世紀の「新たな」緑の革命
ロックフェラー財団による応答
化学肥料で再び実るトウモロコシ
4 援助による格差の拡大
エリートの大規模農家の台頭
「農家」の二極化
第7章 過重労働をこなす女性たち
1 農村女性の過重労働
女性の役割
耕作を始めた女性たち
2 ジェンダー政策の誤想
労働力としての女性の価値
「女性の周縁化」の仮説
「身勝手な男性」像の形成
エンパワーメント手法の台頭
3 開発援助のディストピア
4 農業を美化した帰結
終 章 国際協力の再構築
1 知識生産の視点の転換
(1)教育を受けても食べていけない
(2)識字教育を国際詐欺に活用する
(3)資源外交と軍事介入への不信
(4)欧米メディアや国際協力への不信
(5)食料・経済危機のしくみ
(6)援助による技術の喪失と格差拡大
(7)女性支援による農業の女性化
2 グローバリゼーションの不均衡を軽減させる
植民地型経済からの脱却に向けて
困難な状況に置かれた人びとの生活保障
あとがき
参考文献