岩波新書 新赤版 1935
哲人たちの人生談義 ストア哲学をよむ
著:國方 栄二
内容紹介
「幸福とは何か」。哲学は、このシンプルにして解きがたい問いから始まり、その問いに身をもって対峙したのがストア派の哲人たちであった。ギリシアからローマにいたる西洋古代哲学の系譜をおさえつつ、エピクテトス、セネカ、マルクス・アウレリウスらのゆたかな言葉から、〈生きること〉としての哲学を手繰りよせる。
目次
序章 幸福問答
敬遠された「幸福論」
ソロンとクロイソスの幸福問答
アリストテレスの批判
もうひとつの幸福問答
カントの批判
幸福論を再考する
第一章 新時代のための哲学袂袒インペリウムの下で
哲学とは何であったか
哲学嫌い
ピタゴラスの比喩
ポリス時代の哲学
ポリスの崩壊
ストア派
エピクロスの園
ローマヘ
キケロの格闘
ローマ時代のストア派
エピクロス以後
第二章 自然に従って生きる袂袒自足する心
アウタルケイア
自然に従って生きる
徳とは何か
理性の役割
適切な行為
エピクロス派のアウタルケイア
エピクロスの現実主義
第三章 自由に至る道を探す――意志と自由
強さをどこに見出すか
無常観
カルペー・ディエム
ニール・アドミーラーリー
われわれの力の及ぶものと及ばないもの
アリストテレスの説明
精神の自由
意志
心像との戦い
ストア哲学批判
第四章 必然の呪縛を逃れる袂袒運命と摂理
運命論
必然の呪縛を切る袂袒原子の逸れ(クリナメン)
永劫回帰の思想
運命とは?
運命と自由
必然の呪縛を逃れる――犬と円筒の比喩
セネカの関心
エピクテトスの場合
人生の舞台に立つ役者
運命に委ねるとは?
第五章 情念の暴走を抑える――理性と情念
ストア派の知性主義
怒りについて
賢者も時には怒る
プルタルコスの『怒りを抑えることについて』
メデイアの怒り
情念をコントロールする
精神の城砦を築け
第六章 失ってはならぬもの――人格と尊厳
死の倫理
エウタナシア
ブタは殺さない
ソクラテスの自殺否定論
ストア派の自殺論?
エウロゴス・エクサゴーゲー
人格主義として
安楽死と古代の自殺論
終章 哲人たちの人生談義
心の豊かさを求める
中間的なものの存在位置
人生の意味
ストア哲学から学ぶ?
あとがき
参考文献一覧