岩波新書 新赤版 1890
法医学者の使命 「人の死を生かす」ために
著:吉田 謙一
紙版
内容紹介
異状死の死因を解剖・検査を通して究明し、法的判断の根拠を提供するのが法医学者の役割だ。その判断はどのように行われるのか。法医学者が死因を誤り、犯罪死を見逃すのはどのような場合か。日本の刑事司法および死因究明制度のどこが問題か。長年第一線で活躍を続け、数々の冤罪事件の鑑定を手がけた法医学者が、これまで経験した事件を取り上げながら訴える。
目次
はじめに
Ⅰ なぜ、死因を誤るのか?————死因究明制度の落とし穴
1章 警察官の見落とし(誤認検視)の背景にあるもの
2章 臨床医の判断(検案)が死因究明の出発点————一酸化炭素(CO)中毒事件を例に
Ⅱ 突然死はどのように発生し、何をもたらすか
3章 心臓突然死
一 暴行と心臓突然死————科学的「因果関係」と法的「因果関係」
二 ストレスで人は死ぬか?
三 不整脈による突然死
四 身体拘束による突然死
五 過労死
六 圧受容体反射と迷走神経反射、神経調節性失神
4章 その他の予期しない死、突然死
一 溺死
二 アナフィラキシーショック
三 肺塞栓症
四 脂肪塞栓症候群
五 電解質異常
Ⅲ 医療事故と刑事裁判
5章 医療裁判における「因果関係」
6章 医療事故調査制度を考える
一 都立広尾病院事件が火をつけた「異状死論争」
二 司法解剖事例をふり返る
Ⅳ どうすれば、冤罪を防止できるか
7章 医療版