岩波新書 新赤版1817
リベラル・デモクラシーの現在
「ネオリベラル」と「イリベラル」のはざまで
著:樋口 陽一
紙版
内容紹介
戦後西側諸国の憲法の共通基準であったリベラル・デモクラシーが,「ネオリベラル」と「イリベラル」の挟撃を受けて世界的な危機に直面している.トランプ現象,イギリスのEU離脱をめぐる混迷,日本の改憲論議などを前に,戦後知識人たちの言説を手がかりにしつつ,私たちの座標軸をどこに求めるべきか考える.1979年以降21世紀まで,10年刻みで岩波新書を刊行してきた著者が新たに問う.
目次
はじめに
Ⅰ リベラル・デモクラシーの展開,そしてその現在—— 一九四五-一九八九-二〇一九
0 前提:「リベラル」の論理と「デモクラシー」の論理——「リベラル」の制度化としての「立憲」
1 ポスト一九四五憲法基準としてのリベラル・デモクラシー——〈リベラル〉デモクラシーとリベラル〈デモクラシー〉
2 国境を越える「ネオリベラル」化の中の「イリベラル」——非西欧世界からの拡散
3 「イリベラル」+「ネオリベラル」vs.「リベラル」
Ⅱ 戦後民主主義をどう引き継ぐか——遺産の正と負
0 前提:日高社会学がいま持つ意味
1 日高『国策転換に関する所見』(一九四五・七)から「戦後」へ
2 一九六〇年代:高度成長と「民主主義」——順接続と逆接続
3 一九七〇年代以降:「経済大国」の盛衰と憲法
Ⅲ 「近代化モデル」としての日本——何が,どんな意味で
0 前提:あらためて「四つの八九年」
1 「西洋化ぬきの近代化」vs.雑種としての憲法文化—— 一八八九年憲法と「和魂洋才」論
2 二〇一二自由民主党「憲法改正草案」——脱近代憲法としてのモデル性
3 法改正,とりわけ憲法改正の作法と没作法
おわりに