序章 顔を持たぬために書くこと
フーコーとは誰か
自分自身からの離脱
本書の構成/フーコーは何を為したのか
第一章 人間学的円環――『狂気の歴史』とフーコーの誕生
1 心理学と人間学――「前フーコー的」テクスト
心理学者フーコー
夢と実存
疎外と脱疎外
人間学的思考
2 理性,狂気,病――『狂気の歴史』
新たな問い
理性と狂気
監禁制度の創設
狂気と病
3 狂気と人間の真理――人間学の問題化
人間学的公準
有限性の傷痕
人間学的錯覚目
第二章 不可視なる可視性――『臨床医学の誕生』と離脱のプロセス
1 疎外された狂気――人間学的思考の残滓
狂気それ自体
沈黙の考古学
狂気の疎外
悲劇的構造
2 近代医学の成立――『臨床医学の誕生』
医学的視線の考古学
臨床医学から病理解剖学へ
表層と深層,生と死
3 終わりのない任務――離脱の決定的契機
不可視なる可視性
暴露と隠蔽
ネガティヴなものの力
事物の暗い核
第三章 人間の死――『言葉と物』
1 無限と有限――現象学との対決
有限性をめぐる逆転
有限性と現象学
フーコーと有限性
2 エピステーメーとその変容――類似,表象,人間
類似の解読から表象の分析へ
「人間」の不在/深層の発明
客体の越えがたい厚み
3 人間と有限性――人間学の陥穽
「人間」の登場
有限性の分析論
人間学の眠り
第四章 幸福なポジティヴィスム――『知の考古学』
1 主体,構造,歴史――歴史をどう書くか
構造主義
映画と幻灯
人間学からの解放
「考古学」の定義
2 連続的歴史――主体の避難所
歴史と主体
幾何学の起源
科学の統一性
歴史的アプリオリ
3 解釈――「再我有化」の努力
あらゆる解釈の外
再我有化
解釈と稀少性
視線の転換
第五章 「魂」の系譜学――『監獄の誕生』と権力分析
1 言説と権力――『言説の領界』
言説の稀少化
逆転の原則
GIPとコレージュ講義
2 監視と処罰――『監獄の誕生』
「君主権的権力」から「規律権力」へ
パノプティコン
権力と知
3 身体の監獄――自己を自己自身に繫ぎ止める権力
非行者と非行性
監獄の成功
魂と裁判権力
権力と「人間」
第六章 セクシュアリティの歴史――『性の歴史』第一巻『知への意志』
1 性と言説――煽動する権力
性の歴史という企図
抑圧の仮説
告白
2 従属化――主体であると同時に臣下である者の産出
「同性愛」の誕生
主体の学
戦術上の逆転
「従属化」との闘い
3 生権力――「生かすか,それとも死ぬに任せておくか」
身体と「人口」
性と生
統治の技法
第七章 自己をめぐる実践――『性の歴史』第二~四巻と晩年の探究
1 新たな離脱――同じままであり続けぬために
いくつかの出来事
欲望の解釈学
別のやり方で思考すること
2 欲望する主体の系譜学――新たな『性の歴史』
『性の歴史』の再編成
生存の美学
自己への専心
欲望と主体
3 自己の技術――晩年のコレージュ・ド・フランス講義
自己への配慮と自己認識
自己と真理
パレーシア
終章 主体と真理
あとがき
参考文献
略年譜