幕末の合巻
江戸文学の終焉と転生
著:佐藤 至子
紙版
内容紹介
合巻は、近世の出版文化と命運をともにした最後の江戸文学であった。幕末期に人気を博した『児雷也豪傑譚』は、他のメディアへの「転生」を多彩に成し遂げることで、広く近現代の娯楽文化のなかに生き続けることができた。古典と近代を架橋する合巻の様相を多角的に描き出すことから、文学研究の新たな地平をひらく。
目次
はじめに
凡 例
第一部 合巻を読むために
第一章 合巻の流れ――文化期から天保期まで
第二章 文学研究のなかの合巻
第二部 『児雷也豪傑譚』――近世娯楽小説の到達点
第一章 児雷也と蝦蟇
第二章 蛇の物語と三すくみ
第三章 転生する物語――『児雷也豪傑譚』から『NARUTO』へ
第三部 『白縫譚』――変革への希求
第一章 体制を攪乱する妖術使い――嗣子としての若菜姫
第二章 女性たちの悲劇――伝奇のなかの現実
第三章 叛逆の物語と土蜘蛛
第四章 「忠孝」から「善悪」へ――『白縫譚』初編・二編の構想
第五章 長編合巻を作る――キャラクターと見せ場
第四部 越境する合巻
第一章 歌舞伎と合巻――『吉皐染扶桑初鷄』
第二章 読本と合巻――『雪梅芳譚犬の草紙』『仮名読八犬伝』
第三章 伝奇性と当世性――文政期合巻における芸者像
第四章 幕末の合巻と「江戸」
第五章 合巻と転生――虚構の生命力
おわりに
初出一覧
主要人名索引・主要書名索引