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体罰と日本野球

歴史からの検証

著:中村 哲也

紙版

内容紹介

部活動など、日本のスポーツにおける体罰の問題が絶えない。厳しい上下関係を背景に、指導の名のもとに繰り返される暴力。こうした歪な状態はいつ発生し、なぜ広がっていったのか。日本の代表的スポーツである野球の歴史をたどりながら、膨大な史料を駆使し実証的に考察。体罰なきスポーツ界の実現へ向け具体的に提言する。

目次

 序 章 体罰の減らないスポーツ界

第Ⅰ部 体罰発生以前の日本野球

 第一章 野球部活動の発生と制裁――明治期の一高野球と早慶野球部
  1 日本野球の発祥と一高
  2 一高から早慶へ
  3 一高と「制裁」

 第二章 野球部の拡大と部員の関係――中等学校の成立と学生野球の組織化
  1 中等学校の整備と学業・健康
  2 中等学校野球部の成立と拡大
  3 対外試合と野球大会

第Ⅱ部 体罰の発生と拡大

 第三章 野球の「近代化」と体罰の発生――大正期の構造転換
  1 甲子園・六大学野球の成立
  2 野球を通じた進学・就職
  3 野球の活発化と強固な上下関係
  4 体罰の発生
  5 戦時下の野球の終焉

 第四章 戦後野球の拡大と激化・日常化する体罰――学生・社会人・プロへ
  1 戦後野球の復活と軍隊経験
  2 高校野球と体罰の日常化
  3 プロ野球と社会人野球
  4 野球以外の種目における体罰の発生と拡大
  5 体罰の問題化と不十分な対処
  6 大学スポーツの構造的変化と体罰の減少

 終 章 体罰なきスポーツ界の実現に向けて

  あとがき
  注
  引用・参考文献

著者略歴

著:中村 哲也
中村哲也(ナカムラ テツヤ)
1978年大阪府生まれ.
京都府立大学文学部卒業,一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了.博士(社会学).
早稲田大学スポーツ科学学術院助手を経て,現在,高知大学地域協働学部准教授.
専門は日本スポーツ史.
著書に『学生野球憲章とはなにか――自治から見る日本野球史』(青弓社,2010年),共訳書にアーロン L. ミラー『日本の体罰――学校とスポーツの人類学』(共和国,2021年).

ISBN:9784000616225
出版社:岩波書店
判型:4-6
ページ数:260ページ
定価:2500円(本体)
発行年月日:2023年12月
発売日:2023年12月18日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:SF