日本古代国家形成史の研究
制度・文化・社会
著:吉村 武彦
内容紹介
氏族制的なヤマト王権の時代から、官僚機構を備えた律令体制の成立へ――日本の古代国家の形成過程と、社会の実像を解き明かす研究を牽引してきた著者の、近年の研究成果をもとに編成する論文集。「人制」、「仕奉」概念、天皇即位時の「群臣推挙」説の提唱、『万葉集』や出土文字史料にみられる歌謡の表記への着目など、具体的な言葉やモノを通じて、制度と社会実態をトータルに捉え直す。
目次
まえがき
第Ⅰ部 ヤマト王権の展開
第 一 章 ヤマト王権の成立と展開
はじめに
一 ヤマト王権の成立
二 倭の五王の時代
三 部民制と国造制
第 二 章 ヤマト王権と「東国の調」
はじめに
一 ヤマト王権と東国
二 東国の調と服属儀礼
むすびにかえて──麻布貢納の意味
第 三 章 古代の王・王妃称号と尊称
はじめに
一 天皇号の成立時期をめぐる研究状況
二 天皇号以前の国王の称号
三 「大后」の名称について
むすびに
第Ⅱ部 律令制国家の形成と律令法・天皇
第 四 章 律令制国家の形成
はじめに
一 七世紀の国制改革
二 古代日本の成立
第 五 章 遣隋使の派遣
はじめに
一 百済を介した南朝文化との交流──遣隋使以前
二 遣隋使の派遣
三 推古朝の内政と仏教興隆
付論 推古朝における王権と交通
第 六 章 浄御原朝庭の制
はじめに
一 田領と国司
二 封戸の税
三 政丁と兵士
むすびにかえて
第 七 章 律令制の形成と宮都
はじめに
一 日本的律令制の形成
二 律令制支配と宮都
三 京戸支配の特徴
四 古典的中国への憧憬
第 八 章 大宝田令の復元と『日本書紀』
はじめに
一 大宝令の田令復元──研究課題の設定
二 改新詔と大宝田令
三 「東国国司の詔」と「諸国への使者派遣」
四 「改新詔」と大宝令の配置
五 六年一班条
第Ⅲ部 古代の政事文化と生活空間
第 九 章 古代の政事文化と文字
はじめに
一 文字文化の受容と言葉の表記
二 和文表記と礼儀・言語
三 仏教の受容と宮都の宗教的時空
四 天武朝における転換
第一〇章 歌木簡と『古事記』『日本書紀』歌謡
はじめに
一 「歌木簡」の歌詞と『古事記』『日本書紀』注釈書の歌詞表記
二 『古事記』『日本書紀』における歌詞
三 歌詞類似の詞
四 「旧辞」と歌謡
第一一章 山河海のコスモロジー
はじめに──山の道と海の道
一 香具山と国見
二 「山海之政」のコスモロジー
三 「山河海」と国土統治
第一二章 古代人の生活空間
はじめに
一 童の時代
二 成人儀礼と婚姻
三 官人・百姓の生活
四 老の生活
むすび──年齢区分と通過儀礼
引用・参考文献
あとがき
索引