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大奥御用商人とその一族

道具商山田屋の家伝より

著:畑 尚子

紙版

内容紹介

江戸後期、一一代将軍家斉の時代に活躍した大奥御用商人が遺した家伝「永久田家務本傳」。大奥研究に長く取り組んできた著者がこの記録を読み解き、未解明だった大奥御用の実態や、御用獲得の手段の一つでもあった、商人一族や周辺の女性たちの奥奉公の実態、また奉公経験をその後の人生に生かした女性たちの活力あふれる生き方などを描き出す。

目次

 はじめに――「永久田家務本傳」とその作者
  ◎系図1 山田屋黒田家

第一章 大奥の御用商人

 1 御用と江戸城大奥の仕組み
  大奥御用とは/菓子屋の御用は複雑/御次御用には女性の力が必要/江戸城大奥の役割/奥女中制度のあらまし/奥女中奉公が御用を支える/家斉期の大奥

 2 道具商山田屋の御用
  山田屋とは/大名家の奥向御用/本丸大奥御用の始まり/寛政期の大奥御用/淑姫御守殿御次御用と岩田/道具商の仕事と注文/上﨟花町とは/花町と山田屋の関係/花町の御用/文化期の山田屋の御用/家斉政権の恩恵

第二章 山田屋の歴史μ黒田徳雅の生涯

 1 御用商人への道
  山田屋を興す/「享保の偽筆事件」/四谷塩町一丁目/「宝暦の災難」/五世喜雅による再興/喜雅の結婚と山田屋の繁栄/喜雅の息子、武士となる/様々な身上り

 2 徳雅の前半生と山田早苗としての顔
  青梅の柳屋小林家/徳雅、青梅に生まれる/父と過ごした少年期/徳雅、なかと出会う/新宿・四谷の狂歌界/石川雅望と五側のメンバー/狂歌師・山田早苗/山田早苗の紀行文
  ◎系図2 柳屋小林家

 3 山田屋の全盛期から幕末まで
  徳雅最初の結婚と死別/四谷から赤坂へ―質屋も兼業/かよとの離縁/三人の息子/後継者を失う/徳雅の死と菩提寺西念寺/西念寺への支援/幕末の山田屋/維新期の黒田家をめぐる謎

第三章 躍動する商家の女性たち

 1 とよ――人脈で家の危機を救う
  実家岡崎屋/竹姫と老女岡田/一橋家老女戸川

 2 みの――世話好きの女丈夫
  難波町、柳屋三姉妹/京都への旅/みのの性格と行動/奉公の斡旋(一)勝五郎妻みよと妹てや/奉公の斡旋(二)岡崎屋と戸塚宿七兵衛三姉妹

 3 ねん――「生涯奉公」の奥女中
  大奥での働きと隠居所/死後の供養

 4 たみ――跡取り娘の一家再興
  徳川斉荘に仕える/奉公に上がる手順/青梅での生活、柳屋の窮状/たみの奮起/斉荘墓参の旅/「貴人」に愛されたたみ

 5 家付き娘たちの生き方
  ます、青梅山田屋を守る/江戸に出て奉公したますとらく(せや)/ます・かよの上方旅行/青梅山田屋の期待かつ/江戸山田屋を継いだかつ

 6 奥奉公した女性たち

 山田屋略年譜
 参考文献

 あとがき

著者略歴

著:畑 尚子
畑 尚子(ハタ ヒサコ)
1961年生.國學院大學大学院文学研究科日本史学専攻修了.博士(歴史学).日本近世史専攻.國學院大學,青山学院大学非常勤講師.
著書に,『江戸奥女中物語』(講談社現代新書),『幕末の大奥――天璋院と薩摩藩』(岩波新書),『徳川政権下の大奥と奥女中』(岩波書店),『島津家の内願と大奥――「風のしるへ」翻刻』(同成社),『戊辰戦争の新視点 上』(共著,吉川弘文館)などがある.

ISBN:9784000615631
出版社:岩波書店
判型:4-6
ページ数:194ページ
定価:2200円(本体)
発行年月日:2022年10月
発売日:2022年10月31日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KCCD
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:NH