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循環経済 理論分析と応用

著:細田 衛士

紙版

内容紹介

経済活動を、物質の生産→消費→再利用→再資源化を経た廃棄という一方通行で捉えることは出来ない。「循環経済(circular economy)」では、廃棄後を見据えた生産と消費、そして廃棄物を含んだ新たな生産という一つのサイクルを考える。本書は、循環経済の現実を説明しうる理論的枠組みを構築し実際の環境政策への応用を示す。

目次

序章
 1 問題の所在
 2 無料処分の仮定と無料財の原則
 3 廃棄と資源の循環利用に関わる問題の核心
 4 本書の構成

第1章 基礎的分析方法の説明
 1 はじめに
 2 初歩的な多部門経済モデル
 3 無料処分の仮定および無料財の原則が適用できない場合
 4 技術選択
 5 生産プロセスの劣等性
 6 単一生産モデルにおける実現可能性の仮定の意味
 7 おわりに

第2章 生産活動から排出される残余物の分析
 1 はじめに
 2 モデルの基本設定
 3 モデルの分析と均衡の性質
 4 より一般的でかつ現実的なモデル
 5 諸命題の証明のための数学付録
 6 おわりに

第3章 消費活動から排出される残余物の分析
 1 はじめに
 2 モデルの基本設定
 3 モデルの拡張
 4 命題3. 4の証明のための数学付録
 5 おわりに

第4章 リサイクルと再生資源の劣化問題
 1 はじめに
 2 基本モデルと諸仮定の説明
 3 数理モデルの分析と主要な結論
 4 長期競争均衡の行列・ベクトルによる定式化と双対問題
 5 諸命題の証明のための数学付録
 6 おわりに

第5章 使用済み製品・廃棄物の分別とリサイクル
 1 はじめに
 2 基本モデルと諸仮定の説明
 3 数理モデルの分析と主要な結論
 4 長期競争均衡の行列・ベクトルによる定式化と双対問題
 5 諸命題の証明のための数学付録
 6 おわりに

第6章 家庭系の廃棄物処理に対する上流側の政策の効果(I)
 1 はじめに
 2 モデルの概要の説明
 3 主要な結論
 4 モデルの拡張の可能性
 5 諸命題の証明のための数学付録
 6 おわりに

第7章 家庭系の廃棄物処理に対する上流側の政策の効果(II)
 1 はじめに
 2 基本モデルと諸仮定
 3 生産物連鎖の上流での政策
 4 諸命題の証明のための数学付録
 5 おわりに

第8章 生産者と廃棄物処理業者の相互作用的活動――市場の境界外部の影響も含めて
 1 はじめに
 2 基本モデルと諸仮定の説明
 3 長期競争均衡における数量体系と価格体系の定式化
 4 主要な結論
 5 持続可能均衡の政策的含意
 6 諸命題の証明のための数学付録
 7 おわりに

第9章 使用済み製品の所有権と環境配慮設計
 1 はじめに
 2 基本モデルと諸仮定の説明
 3 排出係数が一定の場合の長期競争均衡
 4 排出係数が可変的な場合の長期競争均衡
 5 諸命題の証明のための数学付録
 6 おわりに

終章
 1 はじめに
 2 生産物連鎖の上流政策と同値性命題
 3 いくつかの制約の緩和
 4 今後の課題

あとがき

参考文献
索引

著者略歴

著:細田 衛士
細田衛士(ほそだ えいじ)
1953年東京生まれ.77年慶應義塾大学経済学部卒業.同大学同学部助手,助教授を経て94年教授.2019年中部大学経営情報学部教授,22年東海大学政治経済学部経済学科教授,同大学副学長.環境経済・政策学会元会長.慶應義塾大学名誉教授,中部大学名誉教授.博士(経済学).専攻は理論経済学,環境経済学.
主な著作に『資源の循環利用とはなにか』(岩波書店,2015年),『グッズとバッズの経済学』(東洋経済新報社,1999年;同第2版,2012年),『環境と経済の文明史』(NTT 出版,2010年),『資源循環型社会』(慶應義塾大学出版会,2008年),『環境制約と経済の再生産』(同,2007年)がある.

ISBN:9784000615372
出版社:岩波書店
判型:A5
ページ数:450ページ
定価:11000円(本体)
発行年月日:2022年06月
発売日:2022年06月14日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:TQ