学問の自由の国際比較
歴史・制度・課題
著:羽田 貴史
著:松田 浩
著:宮田 由紀夫
内容紹介
「学問の自由」は世界的変動の中にあり、旧来の「大学」対「外部」の構図では捉えきれなくなった。その思想生成の歴史から、欧州、米国、日本、中国など各国の法と保障の体系、近年の侵害事象や「大学改革」に発する新しい問題群を網羅する基本文献。編者以外の執筆者=藤井基貴、栗島智明、堀口悟郎、船勢肇。
目次
はじめに………羽田貴史・松田 浩・宮田由紀夫
序章 現代社会における学問の自由の生成と動態………羽田貴史
一 大学の中核的価値としての学問の自由
二 近代大学像と学問の自由の伝播
三 学問の自由侵害の状況
四 学問の自由保障の課題
第一部 学問の自由の制度化と動態
第1章 ドイツにおける学問の自由の生成と制度化………藤井基貴・栗島智明
一 近代ドイツにおける学問の自由の生成と展開
二 国家主義と結びついた大学の発展と学問の自由
三 戦後の大学と学問の自由
四 学問の自由をめぐるその他の問題
第2章 フランスにおける大学の自由………堀口悟郎
一 フランスの高等教育機関
二 学問の自由
三 大学の自治
四 大学教員の独立
おわりに
第二部 学問の自由の伝播と制度化
第3章 アメリカにおける学問の自由の受容と制度化………松田 浩
一 アメリカにおける学問の自由を分析する意義
二 二〇世紀前期における専門職能的学問の自由の成立
三 二〇世紀中葉以降における憲法的学問の自由の展開
四 アメリカにおける学問の自由の存在様式──日本への示唆
第4章 戦前日本の学問の自由の形成………羽田貴史・船勢 肇
一 日本の学問の自由
二 明治憲法体制の成立と学問の自由
三 森有礼と帝国大学
四 学問の自由の生成と大学自治──戸水・沢柳事件をめぐる帝国大学教授たち
五 戦前行政学における学問の自由論の生成
六 学問の自由と国家──天皇制国家の枠組みとの模索
七 大学自治の批判者たち
第5章 戦後日本の学問の自由の制度化………羽田貴史
一 戦後教育立法改革と学問の自由の制度化
二 戦後教育立法改革と「大学自治」の制度化
三 学問の自由と学生
四 学問の自由と教育の自由
第三部 現代社会と学問の自由の変動
第6章 国境を越えた学問の自由規範の生成………栗島智明
一 人権の国際的保障と学問の自由
二 ヨーロッパにおける学問の自由
まとめにかえて
第7章 アメリカの大学における国家安全保障と学問の自由………宮田由紀夫
はじめに──問題の所在
一 大学における軍事機密研究
二 大学による軍事技術開発政策への批判
三 外国人研究者の入国と研究成果の公表の制限
四 「同時多発テロ」以降の研究成果の公表の制限
五 「同時多発テロ」以降の留学生の規制
おわりに
第8章 大学の企業的経営と学問の自由 ──ドイツにおける「マネージメント大学」の出現とその憲法的統制………栗島智明
一 ドイツにおける「マネージメント大学」の出現とその問題点
二 一九九〇年代以降の大学改革の経緯と特徴
三 連邦憲法裁判所の三つの決定
まとめにかえて
第9章 中国における学問の自由………羽田貴史
一 増大する中国の学問の自由侵害
二 中国の憲法と習近平政権による大学統制
三 大学における学問の自由の意味
終章 学問の自由の現在と課題………羽田貴史・松田浩・宮田由紀夫
一 学問の自由をめぐる危機と新たな課題
二 学問の自由を保障する制度とは何か
三 学問の自由に関する研究の課題
おわりに………羽田貴史・松田 浩・宮田由紀夫
学問の自由に関する文献目録
事項索引・人名索引
ISBN:9784000615235
。出版社:岩波書店
。判型:A5
。ページ数:360ページ
。定価:5900円(本体)
。発行年月日:2022年03月
。発売日:2022年03月19日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JNM。