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人間晩年図巻 2008—11年3月11日

著:関川 夏央

紙版

内容紹介

「ままへ いきてるといいね おげんきですか」。東日本大震災を生き延びた少女は、母親への手紙にそう記した——。未曽有の災害がもたらした別れの哀切と生の尊さが滲む「昆愛海ちゃんのママ」を掉尾に、〝晩年四十五年〟を生きたサリンジャー、〝デイ・ドリーム・ビリーバー〟忌野清志郎、〝旅先の人〟佐野洋子ら二十八人を収録。

目次

2008年に死んだ人々
 高杉一郎(老衰・99歳)………「征きて還りし兵」の五十九年
 草森紳一(心不全?・70歳)………本に憑かれた魂
 川内康範(慢性気管支肺炎・88歳)………「生涯助ッ人」
 広井てつお(上顎歯肉悪性腫瘍・57歳)………恐るべき速度で進行した
 中村 進(チベットで登山中、雪崩に巻き込まれ死亡・62歳)………チョモランマ(エベレスト)と日本人登山家の物語
 峰岸 徹(肺がんの骨転移・65歳)………最晩年の役は「遺体」
 筑紫哲也(肺がんの全身転移・73歳)………「タバコが直接の原因ではない」
 飯島 愛(肺炎・36歳)………バブルの娘
 安田 南(死因不明・64歳〜65歳?)………「プカプカ」の彼女

2009年に死んだ人々
 遠藤幸雄(食道がん・72歳)………昔の空は青かった
 忌野清志郎(喉頭がん原発のがん性リンパ管症・58歳)………性的なのに清潔
 藤沢秀行(急性胆管炎から敗血症・83歳)………「野垂れ死に」するというけれど
 盧武鉉(投身自殺・62歳)………不幸な連環
 三沢光晴(試合中の事故死・46歳)………過重労働による社長の死
 大原麗子(脳内出血・62歳)………女性・男性・女優
 山城新伍(糖尿病、誤嚥性肺炎・70歳)………よくもここまで

2010年に死んだ人々
 浅川マキ(入浴中に心不全・67歳)………「夜が明けたら、いちばん早い汽車に乗るから」
 J・D・ サリンジャー(老衰?・91歳)………引きこもり五十六年、晩年四十五年
 北林谷栄(肺炎・98歳)………生涯、反骨の「おばあさん」
 梅棹忠夫(老衰・90歳)………「大工」と「極地探検家」にはなりそこねた人
 つかこうへい(肺がん・62歳)………「祖国」?
 石井好子(肝不全・87歳)………「おフランス」ではなかったシャンソン歌手
 梨元 勝(肺がん・65歳)………「恐縮」する人生
 池部 良(敗血症・92歳)………「ご一緒、願います」
 佐野洋子(乳がんの骨転移・72歳)………「旅先」の人

2011年1月─3月11日に死んだ人々
 与那嶺要(前立腺がん・85歳)………「お嬢さん野球」を震撼させたニセイ選手
 坂上二郎(脳梗塞・76歳)………「不条理コント」を受けきった男
 「昆(こん)愛海(まなみ)ちゃんのママ」昆由香(津波被害・32歳)………「いきてるといいね」

 あとがき

著者略歴

著:関川 夏央
関川夏央(せきかわ なつお)
作家。1949年、新潟県生まれ。上智大学外国語学部中退。 『海峡を越えたホームラン』(双葉社、1984年)で第7回講談社ノンフィクション賞、『「坊っちゃん」の時代』(谷口ジローと共作、双葉社、1987─97年)で第2回手塚治虫文化賞、2001年には、その「人間と時代を捉えた幅広い創作活動」により第4回司馬遼太郎賞、『昭和が明るかった頃』(文藝春秋、2002年)で第19回講談社エッセイ賞を受賞。近著に『子規、最後の八年』(講談社、2011年、講談社文庫、2015年)、『日本人は何を捨ててきたのか 思想家・鶴見俊輔の肉声』(鶴見俊輔との対談、筑摩書房、2011年、ちくま学芸文庫、2015年)、『文学は、たとえばこう読む─「解説」する文学Ⅱ』(岩波書店、2014年)、『人間晩年図巻 1990─94年』『人間晩年図巻 1995─99年』(いずれも岩波書店、2016年)、『人間晩年図巻 2000─03年』『人間晩年図巻 2004─07年』(岩波書店、2021年)など。

ISBN:9784000615075
出版社:岩波書店
判型:4-6
ページ数:256ページ
定価:1900円(本体)
発行年月日:2021年12月
発売日:2021年12月27日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:DNB