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コロナ禍の東京を駆ける

緊急事態宣言下の困窮者支援日記

著:稲葉 剛
著:小林 美穂子
著:和田 靜香

紙版

内容紹介

「ステイホーム」する家がない--。コロナ禍による派遣切りに遭い、ネットカフェなど拠り所を失い、追い詰められ、助けを求める人たち。対する行政の「水際作戦」の横行。緊急事態宣言発出日以降の支援者の日記から浮かび上がる、福祉の貧困と、それに抗い、つながる人たち。この社会の実態を突きつける貴重なドキュメント。

目次

 まえがき………和田靜香
 ホームレス・クライシスに立ち向かう………稲葉 剛

困窮者支援活動日記――2020年4月8日~7月1日………小林美穂子、構成=和田靜香
 はじめに
4月8日▼ パンドラの箱を開けてしまった
 その2▼ 若い女性の萌さん――生きたいと思ってしまったんです
  9日▼ 日雇いの譲二さん――予定していた仕事がすべてストップした
  10日▼ 福祉事務所にイナバ、キレる
 その2▼ 大拡散希望
  11日▼ ネットカフェ生活者がコロナで可視化された
  12日▼ マスク3枚よーし!
  13日▼ 福祉事務所に憂いが止まらない
  14日▼ 続報、そして生活保護申請――ゆいなさん
  15日▼ 怒りで震える。東京都は感染拡大止める気あるん?
 その2▼無料低額宿泊所に送られた赤坂さん
  18日▼ 皆さんの声が届いた!
  20日▼マスク
  21日▼特別定額給付金は生活保護受給者にも
  22日▼絶望が深すぎて未来が見えない
  26日▼一人ひとり名前があり、顔がある
  28日▼生きていてくれた
  29日▼福祉ってなに? ケースワーカーの仕事ってなに? な話
5月1日▼スタイリッシュなビルで右往左往の巻
  8日▼まるで刑務所みたいだ
 その2▼素朴で無神経な質問すんな!
  13日▼台東区役所の係長は嘘つきの巻
  15日▼ コロナ禍で初めて相談者をいたわる係長現る
 その2▼ 利用者さんの態度は、あなたたちの態度を映す鏡なんや
  17日▼ハウジングファーストで安心できる住まいを
  19日▼安心したらお腹が空いてきた
  21日▼今日困窮している彼らは、明日のあなただ
  26日▼外国籍の人たちが溢れている
 その2▼ だって、死んだ人間は出ていけないでしょう?――鈴子さん
  27日▼ 困ってる人に日本人も外国人もあるもんか
 その2▼ ラスボスは千代田区役所だったという話
  28日▼ワンワン泣いていた彼女
 その2▼ 祝アパート契約×2人
  29日▼ 千代田「暖簾に腕押し」戦略。おぬしは存在していない。
 その2▼ 絶望の中にもx希望はあって
  31日▼ 「支援」は時代やニーズとともに変化する。型破りすぎる支援者たちについて
 その2▼ビジネスホテル滞在期間延長を当事者に伝えないって何?
6月2日▼ 更生施設か婦人保護施設の二択ってナニ
 その2▼生活保護は税金なのでという呪い
  3日号外▼ ものすごい援軍を得て、千代田区に全面勝利‼ 報告を待て。
  号外のその後▼最強の援軍とともに千代田区福祉へ。風穴を開けるの巻
  3日▼シェア歓迎! 千代田区福祉事務所で支援を受けている/これから受ける方々へ
  4日▼新宿区が87人を追い出した
 その2▼雪虫が舞うと、冬がやってくる
  7日▼セーフティネットと言いながら、その網を自分で切る愚行
  8日▼5分で蕎麦を飲んで、走れ、新宿区役所へ!
 その2▼新宿区役所に申し入れ
  9日▼公人のつく嘘
  10日▼千代田区都営パス券(通称)について
  11日▼私を支えるものは「正義」ではないよ、決して
 その2▼続柄・友人になる
  12日▼反貧困犬猫部結成
  14日▼公的機関で進化を続けるウソとご飯論法
 その2▼「公的機関で進化を続けるウソとご飯論法」続き
  15日▼飛行機を眺めながら思う
  16日▼東京新聞の熱血記者さん
  18日▼今日の千代田福祉
  19日▼支援はどこまでするべきかという問題
  23日▼部屋を持たない人たちに大家さんが必ず聞くこと
 その2▼係長の言葉がどうしても許せなかった件、練馬
  24日▼千代田区役所、アパート一時金申請提出
  25日▼ボブ・ハウス――世界一有名な猫ボブが亡くなった
  26日▼敵ではなく共にやりたいんです、という片思い
  27日▼祝☆アパート転宅
  30日▼16日後まで出ないはずの保護費が7日で出た!
 その2▼餃子を頬張る姿を想像して嬉しや
7月1日▼福祉よ、今日はありがとう

 あとがき

 新型コロナ緊急事態宣言下のある体験………宍戸正博
 「コロナ禍」における「通信禍」――支援対応の「ニューノーマル」を模索して………佐々木大志郎
 あとがき………稲葉 剛

【解説コラム】
 ①ホームレス・東京アンブレラ基金
 ②TOKYOチャレンジネット・生活困窮者自立支援制度
 ③ケースワーカー・相談係
 ④水際作戦・現在地保護・前泊地主義
 ⑤無料低額宿泊所(無低)・貧困ビジネス
 ⑥ハウジングファースト

著者略歴

著:稲葉 剛
稲葉 剛(いなば つよし)
1969年広島市生まれ。一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事。大学在学中から東京・新宿を中心に路上生活者支援活動に取り組む。著書に『生活保護から考える』(岩波新書)、『閉ざされた扉をこじ開ける――排除と貧困に抗うソーシャルアクション』(朝日新書)など。
著:小林 美穂子
小林美穂子(こばやし みほこ)
1968年生まれ。つくろい東京ファンドメンバー。支援を受けた人たちの居場所兼就労の場として設立された「カフェ潮の路」のコーディネーター(女将)。幼少期をアフリカ、インドネシアで過ごし、長じてニュージーランド、マレーシアで就労。ホテル業(NZ,マレーシア)→事務機器営業(マレーシア)→工業系通訳(栃木)→学生(上海)を経て生活困窮者支援という、ちょっと変わった経歴の持ち主。空気は読まない。
著:和田 靜香
和田靜香(わだ しずか)
1965年千葉県生まれ。主に音楽や相撲について書くライター。著書に『評伝・湯川れい子 音楽に恋をして♪』(朝日新聞出版)、『スー女のみかた――相撲ってなんて面白い!』(シンコーミュージック)など。

ISBN:9784000614412
出版社:岩波書店
判型:4-6
ページ数:198ページ
定価:1900円(本体)
発行年月日:2020年11月
発売日:2020年11月30日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JKS