序 なぜ、いま「アイヌ・アート」なのか──造形表現からの問いかけ ………池田 忍
◉関係地図
I それぞれのアイヌ・アート──受け継ぎ、生み出す
第1章 木彫家・藤戸竹喜──終わらない旅 ………五十嵐聡美
1 未完の熊
2 熊彫り
3 木彫り熊
4 怒り熊
5 終わらない旅
第2章 「伝統」と「アート」の葛藤と融合──たえまない修練と模索の現場から ………貝澤 徹
はじめに
1 先祖のこと
2 沙流川流域・二風谷という環境
3 「伝統」の見直しのプロセス──個人として、また民芸組合の一員として
4 「AINU ART 風のかたりべ」展のインパクト
5 二つの近作について
6 どのように継承していくのか
おわりに
【カラー】貝澤徹の世界
第3章 砂澤ビッキとチカップ美恵子の軌跡と表現 ……… 池田 忍
はじめに
1 砂澤ビッキの木彫──拡張する身体、手仕事の痕跡と「装飾」
2 チカップ美恵子のアイヌ文様刺繍──「ラタㇱケップ」な文化の創造を求めて
おわりに
第4章 イラスト表現の可能性 ……… 小笠原小夜
はじめに
1 作品について
2 イラストによる差別的表現
3 アイヌ文様をめぐる違和感
4 イメージの転換
おわりに──広がる世界
【カラー】小笠原小夜の世界
II 広がるアイヌ・アート──受けとめ、分かち合う
第5章 アイヌ・アートと伝統文化の今日的継承──北海道平取地域でのミュージアムの事例を中心に ……… 吉原秀喜
はじめに
1 アイヌ・アートとは?──まずは一考
2 アイヌ文化をめぐる状況の変化──一九七〇~二〇一〇年代
3 アイヌ・アートとミュージアムとコミュニティ
4 アイヌ・アートの持続的発展に向けて──共同研究の成果をふまえつつ
むすび
第6章 アイヌ・アートを楽しむ──双方向的・相乗的なネットワーク構築に向けて ……… 高橋 桂
1 アイヌ・アートへの扉は突然、開かれた
2 興味の扉は次から次へと開かれていく
3 北海道の旅は大自然とグルメだけではない
4 首都圏でアイヌ・イベントに参加する
5 「見たい」「作りたい」から「広げる」へ
6 マーケティングの視点はあるか
7 砂澤ビッキ《四つの風》によせて
おわりに──過去を知り、未来とつなげる
第7章 アイヌ文様に触発されて──山脇敏子と三宅喜久子 ……… 山崎明子
はじめに
1 山脇敏子のアイヌ文様のドレス
2 三宅喜久子の『アイヌ模様の刺繍』
おわりに
第8章 メディアの中のアイヌ文化 ……… 中川 裕
はじめに
1 アイヌ語・アイヌ文化普及・啓発の対象
2 多数者の意識を変えさせる必要性
3 メディアに登場したアイヌ像
4 漫画「ゴールデンカムイ」の登場
5 メディアとアイヌ文化の今後
おわりに
III 回路としてのアイヌ・アート──歴史と理論に照らして
第9章 アイヌ文化をめぐる表象の現在──「誰」が「何」を作るのか ……… 山崎明子
はじめに
1 作り手の歴史から考える
2 作られたモノから考える
おわりに
第10章 アイヌ・アートをひらく──造形をめぐる「ことば」を手がかりに ……… 池田 忍
はじめに
1 アイヌの造形を意味づける制度とことば
2 アイヌの人々によることばと実践──手仕事と「伝統」
3 アイヌ文様をめぐることば──民族の「心」のあらわれとして
4 アイヌ・アートをひらく
おわりに
あとがき………池田 忍