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岩波科学ライブラリー 685

皮膚はすごい

生き物たちの驚くべき進化

著:傳田 光洋

紙版

内容紹介

ポロポロとはがれ落ちるような柔な皮膚もあれば,かたや脱皮でもしない限り脱げない頑丈な皮膚.生き物たちの皮膚は一見不合理のようだが,それぞれが進化の産物であり理由がある.からだを防御するだけでなく,色や形を変化させて気分も表現できる.生き物たちの「包装紙」のトンデモな仕組みと人の進化がついに明らかになる.

目次

まえがき

1 人間だけじゃない!
 皮膚を家にたとえるなら/皮膚の色で心もわかる/生き物はみんな袋で包まれている

2 皮膚は最強のバリアだ!
 皮膚の起源は?/皮膚のなかはどうなっている?/他の動物たちはどうなのか?/ゴリラやチンパンジーたちは/皮膚でも呼吸できる両生類/人間にいちばん似ているのはカエルの皮膚?/カエルの入念なスキンケア/人間の角層そっくりの繭を作るカエル

 【ひとくちコラム】 ハダカデバネズミ/魚の皮膚

3 皮膚は生まれ変わる?
 脱皮する動物たち/外骨格/体温調節できない皮膚

 【ひとくちコラム】 皮膚とエナメル質

4 植物だって「皮膚」でできている
 樹木の皮膚は厚い!/樹皮の模様と人間のしわ/皮膚呼吸する植物チランジア

 【ひとくちコラム】 植物と似ているホヤの皮膚/地衣類たちの「皮膚」

5 なんといっても皮膚は防御
 カバの赤い汗は紫外線を吸収/鳥の皮膚は毒を持つ/傷んだトマトの皮の秘密/免疫機能/花粉症と皮膚/指しゃぶりとアトピー/皮膚に棲む細菌たち

 【ひとくちコラム】 樹皮に含まれる物質と人間の薬

6 極限環境のなかでも平気な皮膚
 汗っかきなのは人間とウマだけ/ゾウの皮膚とマイクロ工学/鳥肌は立つ?/体温四〇度Cを保てるペンギン/氷点下でも凍らないヒラメの皮膚/だぶだぶの皮膚をまとうカエル/脱皮する植物のメセン

7 驚くべき進化を遂げた皮膚
 高速で泳げるサメ肌/電気レーダーを備えた皮膚/エサを食べる皮膚/分身を作る皮膚/芸術的な模様を持つ皮膚/食虫植物たちの皮膚

8 コミュニケーションする皮膚
 変態でメッセージを送る昆虫/過激色で威嚇するカエル/気を惹くイカの変身/コウイカは学習する/コロコロと体色を変えるカメレオン

9 人間の皮膚を再考する
 表皮は五感を持っている/匂いも味も識別する皮膚/刺激に反応する本体は?/痒みという感覚はなぜ起こる/皮膚の情報処理能力

 【ひとくちコラム】 表皮と脳

10 家を出た人間
 なぜ体毛を失ったか/人間はなぜ人間なのか/ホモ・サピエンスの選択/自閉症スペクトラム障害とホモ・サピエンス/ネアンデルタール人の皮膚/体毛を失って得たもの/「家を出た」人類


参考文献

著者略歴

著:傳田 光洋
傳田光洋(でんだ みつひろ)
1960年神戸生まれ.1985年京都大学大学院工学研究科分子工学専攻修士課程修了.京都大学工学博士.1993─96年カリフォルニア大学サンフランシスコ校研究員.2009年から資生堂グローバルイノベーションセンター主幹研究員.2010年から科学技術振興機構CREST研究員を兼任.著書に『皮膚は考える』(岩波科学ライブラリー,中国版も出版),『皮膚感覚と人間のこころ』(新潮選書),『驚きの皮膚』(講談社)ほか.

ISBN:9784000296854
出版社:岩波書店
判型:B6
ページ数:138ページ
定価:1200円(本体)
発行年月日:2019年06月
発売日:2019年06月05日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PDZ
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:PSV