新装版 大江健三郎同時代論集 6
戦後文学者
著:大江 健三郎
紙版
内容紹介
戦後文学を読むことで著者は同時代の日本文学を発見していく。作家たちが敗戦後に展開した、各々独自の終末論的ヴィジョン・黙示録的認識。かれらの人間的全体をかけた多様な努力、仕事、生き方を、そこに本質的なつながりの輪を認めながら、持続してとらえなおし、新たな「戦前」を深く感知する。十二+五名の群像が映す時代像。
目次
Ⅰ
同時代としての戦後
われわれの時代そのものが戦後文学者という言葉をつくった
野間宏・救済にいたる全体性
大岡昇平・死者の多面的な証言
埴谷雄高・夢と思索的想像力
武田泰淳・滅亡にはじまる
堀田善衛・Yes, I do.
木下順二・ドラマティックな人間
椎名麟三・懲役人の自由
長谷川四郎・モラリウトの遍歴
島尾敏雄・「崩れ」について
森有正・根本的独立者の鏡
死者たち・最終のヴィジョンとわれら生き延びつづける者
Ⅱ
中野重治の地獄めぐり再び
林達夫への侏儒の手紙
モラリストとしての伊丹万作
田村隆一と垂直的人間の声
高橋和巳と想像力の枷
未来へ向けて回想する――自己解釈(六)