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岩波ジュニアスタートブックス

はじめての動物地理学

なぜ北海道にヒグマで,本州はツキノワグマなの?

著:増田 隆一

紙版

内容紹介

ゾウとサイとライオンが、インドとアフリカにいるのはなぜ? コアラの祖先はアメリカ出身? 昔は本州にもヒグマがいた!?――どこにどんな野生動物がいて、その動物たちは大昔から、地球のどこをどのように移動して、今いる場所にたどりついたのか? そんな疑問に答えるのが動物地理学です。たくさんの動物を例に、紹介します。

目次

 この本の内容
 はじめに

第1章 なぜ北海道にヒグマで、本州はツキノワグマなの?――地域によって生息する動物の種類がちがう理由
 クマの分布を調べたい
 ヒグマは大陸からやってきた?
 ニホンザルは世界中探しても日本にしかいない
 固有種(こゆうしゅ)が経験した共通のできごととは?
 動物の地理境界線――ブラキストン線

 コラム1―1 パンダはどんなクマなのか?

第2章 新天地へ! コアラの祖先が生まれ故郷を出る――動物たちはどのように世界へ散らばったのか?
 大陸が移動する?
 大陸が分かれる? 運命共同体ができる
 大陸がくっつく?
 カンガルーやコアラの祖先も大陸を移動した
 世代をかけた移動
 動物に移動をうながすものは?
 ヒグマが寒さから逃(のが)れたレフュージアとは?
 寒いとできる陸橋(りくきょう)――マンモスもわたってくる
 人類も移動する
 ヒグマのはるかなる旅――北海道へ3度やってきた
 気候変動と動物たちの移動
 なぜライオンとゾウとサイは、インドとアフリカにいるの?

 コラム2―1 北 海道のエゾモモンガとオーストラリアのフクロモモンガは、親戚(しんせき)なのか?

第3章 カバとクジラは近い仲間?――動物地理学から進化を考える
 進化とは新しい種(しゅ)ができること
 オタマジャクシからカエルへの変化は進化ではない!
 ヒグマとホッキョクグマは別種(べっしゅ)?
 アナグマの雑ざっ種しゅが見つかる
 形からたどる進化
 遺伝子からたどる進化――バクテリアも哺乳類(ほにゅうるい)も、時間を刻むDNA(ディーエヌエー)をもつ
 系けい統とう樹じゅを利用する
 移動が進化を生み出す
 食がさらに進化を生み出す――水中から陸上へ
 分断が進化を生み出す
 動くことから分布までの連続性
 ウマは走ることに進化した
 陸上から水中へ戻もどったクジラ
 クジラのかかとがヒント?
 哺乳類(ほにゅうるい)の前に恐竜(きょうりゅう)が繁栄(はんえい)
 巨大(きょだい)すい星の衝突(しょうとつ)と恐竜(きょうりゅう)の絶滅(ぜつめつ)
 哺乳類(ほにゅうるい)の出番がやってきた
 ホモ・サピエンスとネアンデルタール人

 コラム3―1 動物は寒い地域ほど大きく丸くなる―「ベルクマンの規則」と「アレンの規則」
 コラム3―2 植物も移動できる?

第4章 動物地理学から、人間社会を考える――外来種(がいらいしゅ)となったアライグマ、アメリカミンク
 なぜアライグマが日本に?
 なぜアメリカミンクが日本に?
 外来種(がいらいしゅ)をつくったのは人間活動
 オオカミからイヌへ
 ヤマネコからイエネコへ
 ペットや家畜(かちく)が生態系を乱す?
 ロンドンの街なかにキツネ?――都市動物とは何か?/札幌(さっぽろ)のアーバンフォックス
 東京に出没(しゅつぼつ)する「都市ダヌキ」
 外来種(がいらいしゅ)ハクビシンが都市動物に
 都市動物との共存
 パンデミックはなぜ起こるのか?
 過去のパンデミック
 環境(かんきょう)の保全と動物地理学
 ホッキョクグマと地球温暖化

 コラム4―1 身近な動物地理学に参加するには?

 おわりに

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 索引

著者略歴

著:増田 隆一
増田隆一(マスダ リュウイチ)
1960年生まれ。北海道大学大学院理学研究院教授。北海道大学大学院修了、理学博士。取り組んでいる研究は、遺伝子から進化を探る動物地理学。特に、ヒグマがいつ、どんなルートで北海道へやってきたのか、札幌の都市ギツネがどのように街なかを移動し利用しているのか、を調べている。ヒグマと人の文化との関係を考えることも興味深い。著書に、『ユーラシア動物紀行』(岩波新書)、『うんち学入門』(講談社ブルーバックス)、『ヒグマ学への招待』(編著、北海道大学出版会)など。

ISBN:9784000272476
出版社:岩波書店
判型:B6
ページ数:126ページ
定価:1450円(本体)
発行年月日:2022年10月
発売日:2022年10月12日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PDZ
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:PSV