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シリーズ ソーシャル・サイエンス

政治学と因果推論

著:松林 哲也

紙版

内容紹介

政治学の分野で重要性を増している「因果推論」。本書ではその基礎から書き起こし、さまざまな研究例を用いて無作為化実験、自然実験、不連続回帰デザイン、操作変数法、差の差法といった具体的手法を解説していく。さらに研究の基本的な流れや進めかたなども論じ、読者を研究の実践へといざなう。

目次

第1章 政治学と因果推論
 1 原因と結果の政治学
 2 単純な比較はうまくいかない
 3 反事実という考え方
 4 なぜ因果推論なのか
 5 本書の特徴
 6 ロードマップ

第2章 因果効果の定義と自己選択バイアス
 1 変数とは何か
 2 因果効果の定義
 3 因果効果の測定
 4 自己選択バイアスの影響
 5 自己選択バイアスの例

第3章 統制に基づく比較の限界と自己選択バイアスの克服
 1 交絡変数の統制
 2 回帰分析による複数の交絡変数の統制
 3 無作為割り当て
 4 5つの研究デザイン

第4章 無作為割り当てを利用する比較:無作為化実験
 1 世論調査と社会的望ましさバイアス
 2 回答方式が回答傾向に与えた因果効果の推定
 3 応用例1:サーベイ実験
 4 応用例2:フィールド実験

第5章 偶然の割り当てを利用する比較:自然実験
 1 投票コストと投票参加
 2 自然実験と回帰分析の仕組み
 3 台風が投票率に与えた因果効果の推定
 4 応用例

第6章 カットオフ周辺での割り当てを利用する比較:不連続回帰デザイン
 1 選挙競争と現職効果
 2 不連続回帰デザインの仕組み
 3 党派的現職優位効果の推定
 4 仮定の確認
 5 応用例

第7章 偶然が引き起こす連鎖反応を利用する比較:操作変数法
 1 投票率と選挙結果
 2 操作変数法の仕組み
 3 投票率が政党得票率に与えた因果効果の推定
 4 応用例

第8章 経時的変化を利用する比較:差の差法
 1 女性の政治参入
 2 差の差法の仕組み
 3 市町村合併が女性候補者比率に与えた因果効果の推定
 4 イベントスタディの仕組み
 5 ごく少数の介入事例に注目する合成統制法
 6 応用例

第9章 因果推論のはじめかた
 1 研究を構成するパーツ
 2 リサーチクエッションの設定
 3 良い仮説の見つけかた

第10章 因果推論のゆくえ
 1 因果推論の弊害?
 2 因果推論と日本政治分析

参考文献
あとがき

著者略歴

著:松林 哲也
松林哲也(まつばやし てつや)
1977年生まれ。2007年、テキサスA&M大学大学院政治学部博士課程修了。Ph.D(.政治学)。専門は政治行動論、政治代表論。
ノーステキサス大学政治学部アシスタント・プロフェッサー、大阪大学大学院国際公共政策研究科准教授を経て、現在、大阪大学大学院国際公共政策研究科教授。著書に『政治行動論――有権者は政治を変えられるのか』(共著)、『自殺のない社会へ――経済学・政治学からのエビデンスに基づくアプローチ』(共著)(いずれも有斐閣)など。

ISBN:9784000269995
出版社:岩波書店
判型:B6
ページ数:216ページ
定価:2000円(本体)
発行年月日:2021年11月
発売日:2021年11月18日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JPF
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:QDTS