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帝国 その世界史的考察

著:クリシャン・クマー
訳:立石 博高
訳:竹下 和亮

紙版

内容紹介

国家の主権が脅かされる世界情勢のなか、帝国論の再検討が進んでいる。本書は、歴史社会学の重鎮による「帝国」論入門の決定版。古典的な陸上帝国、「大航海」時代後の海外帝国、支配・被支配の関係性、「国内植民地化」問題、生き続ける帝国的統治までを射程に入れ、「多民族帝国から国民国家へ」という単線的な歴史像を刷新する。

目次

 序 文
 謝 辞

第1章 時間と空間のなかの帝国
 定義の問題――意味のグループ
 古代、古典古代、近代の帝国――帝国の歴史における二つの分水嶺
 第二の分水嶺――ヨーロッパの帝国主義

第2章 東洋と西洋の帝国の伝統
 帝国移動(translatio imperii)――「永遠のローマ」
 中華帝国――「中心の王国」
 中華帝国の成長
 イスラームの帝国

第3章 支配者と被支配者
 対立と適応
 宗主国と植民地――陸上帝国と海外帝国における距離の問題
 支配者・入植者・先住民

第4章 帝国、ネーション、国民国家
 ネーション、国民国家、ナショナリズム
 帝国としての国民国家
 国民国家としての帝国
 帝国から国民国家へ――自然な過程か?
 帝国とナショナリズム
 国民国家に対立する帝国――原理的な差異

第5章 衰退と滅亡
 修辞的な装置か?
 中国と帝国の終焉
 ヨーロッパの陸上帝国の没落
 脱植民地化と海外帝国の終焉

第6章 帝国後の帝国
 帝国の遺産
 陸上帝国の遺産
 海外帝国――ポストコロニアルの条件
 宗主国社会における帝国のその後
 帝国に未来はあるのか?
 「アメリカ帝国」――帝国としてのアメリカ?

 訳者あとがき

 参考文献
 読書案内
 索 引

著者略歴

著:クリシャン・クマー
クリシャン・クマー(Krishan Kumar)
1942年,英領トリニダード・トバゴ生.1951年からイギリスに暮らす.1964年ケンブリッジ大学セント・ジョンズ・カレッジ卒業(歴史学),大学院はロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで政治社会学を専攻.1967年からケント大学で教壇に立ち,1977年同大学から社会学の博士号を取得.1996年から米ヴァージニア大学(社会学)教授.著作多数.
訳:立石 博高
立石博高(たていし・ひろたか)
1951年生.東京外国語大学名誉教授.1980年東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程中退.スペイン史.著書に『歴史のなかのカタルーニャ――史実化していく「神話」の背景』『フェリペ2世――スペイン帝国のカトリック王』(以上,山川出版社,2020),編著に『概説近代スペイン文化史――18世紀から現代まで』(ミネルヴァ書房,2015),訳書に『歴史ができるまで――トランスナショナル・ヒストリーの方法』(J. H.エリオット著,竹下和亮と共訳,岩波現代全書,2017)など.
訳:竹下 和亮
竹下和亮(たけした・かずあき)
1972年生.東京外国語大学国際日本研究センター特任研究員.同大学大学院地域文化研究科博士課程修了.フランス史.著書に『「身分」を交差させる――日本とフランスの近世』(高澤紀恵/ギヨーム・カレ編,分担執筆,東京大学出版会,2023),訳書に『スペインの歴史――スペイン高校歴史教科書』(共訳,明石書店,2014)など.

ISBN:9784000240673
出版社:岩波書店
判型:4-6
ページ数:308ページ
定価:2800円(本体)
発行年月日:2024年03月
発売日:2024年03月12日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:NHB