はじめに
序論 『存在と時間』の「全体」の立体像――第2篇を読むまえに
序論第一(共時的観点より) Indifferenz(無差別性)とは何か――公刊部の「透視」のために
1 現象学の気分としての「不安」
2 「先視」としてのIndifferenz
3 本来性と非本来性の非対称関係
4 Formal-in different の意味
5 「恐れ」の分析における先視の使い分け
結論にかえて
序論第二(通時論風に) 「解釈学的状況」の出生――未公刊第二部の意図したもの
1 問題の所在
2 「ヤスパース『世界観の心理学』へのコメント」から「ナトルプ報告」まで
3 一九二三/二四年冬学期講義『現象学的研究入門』
4 一九二四年夏学期講義『アリストテレス哲学の根本諸概念』
5 『存在と時間』第二部「存在論の歴史の現象学的破壊」への「思弁」的遠望
6 実存と学
学に対する実存の優位
実存に対する学の主導権掌握
結 語
本論 現存在と時間性――第2篇を読む
第45節 現存在についての予備的基礎分析の成果と、同存在者の根源的な実存論的釈義という課題
第1章 現存在の可能な全体存在と死への存在――先駆のみが実存の根源性なのか
第46節 現存在に即した全体存在を存在論的に把捉し規定することが一見不可能であること
第47節 他人の死の経験可能性と全体的現存在の把捉可能性
第48節 未済猶予、終わりそして全体性
第49節 死の実存論的分析の、同現象の可能な他の釈義からの区分け
第50節 死の実存論的‐存在論的構造の予描
第51節 死への存在と現存在の日常性
第52節 日常的な終わりへの存在と、死の十全な実存論的概念
第53節 死への本来的存在の実存論的企投
補 論 死(への先駆)と各私性
第2章 本来的存在可能の、現存在に即した立証、および覚悟性――良心の三種類の呼び声
はじめに
第54節 本来的実存可能性の立証という問題
第55節 良心の実存論的‐存在論的諸基礎成分
第56節 良心の呼び声性格
第57節 ゾルゲの呼び声としての良心
第58節 呼びかけの了解と負い目
はじめに
前半部――280頁第2段落から284頁第1段落まで
後半部――284頁第2段落以降
第59節 良心の実存論的釈義と通俗的良心解釈
第60節 良心のうちで立証された本来的存在可能の実存論的構造
第3章 現存在の本来的全体存在可能と、ゾルゲの存在論的意味としての時間性――根源性からの時間性の浮上
第61節 現存在に即した本来的全体存在から時間性の現象としての発掘へ向けた方法的歩みの予描
第62節 先駆的覚悟性としての、現存在の実存の本来的な全体存在可能
第63節 ゾルゲの存在意味の釈義のために獲得された解釈学的状況および、実存論的分析論一般の方法的性格
第64節 ゾルゲと自己性
第65節 ゾルゲの存在論的意味としての時間性
第66節 現存在の時間性と、そこから発出する、実存論的分析のより根源的な反復の諸課題
第4章 時間性と日常性――日常性という謎
第67節 現存在の実存論的体制の基本内容と当体制の時間的釈義の予描
第68節 開示性一般の時間性
(a)了解の時間性
(b)情態性の時間性
(c)頽落の時間性
(d)話し〔語り〕の時間性
第69節 世界内存在の時間性および、世界の超越の問題
(a)配視的配慮の時間性
(b)内世界的眼前存在者の理論的発見へと配視的配慮が様態変容することの時間的意味
(c)世界の超越の時間的問題
第70節 現存在に即した空間性の問題
第71節 現存在の日常性の時間的意味
第5章 時間性と歴史性――歴史性と歴史学の偏差
第72節 歴史という問題の実存論的‐存在論的開陳
第73節 歴史の通俗的了解と現存在の生起
第74節 歴史性の根本体制
第75節 現存在の歴史性と世界‐歴史
第76節 現存在の歴史性からの歴史学の実存論的根源(392‐397)
第77節 歴史性の問題のこれまでの開陳と、W・ディルタイの研究やヨルク伯の構想との連関(397‐404)
第6章 時間性と、通俗的時間概念の根源としての内時間性――時間が概念となるとき
第78節 現存在に関する先立つ時間的分析の不充分性
第79節 現存在の時間性と時間の配慮
第80節 配慮された時間と内時間性
第81節 内時間性、および通俗的時間概念の創成
第82節 時間性・現存在・世界時間の実存論的‐存在論的連関の、時間と精神の間の関係に関するヘーゲルの見解からの差異化
第83節 現存在の実存論的‐時間的分析論と、存在一般の意味への基礎的存在論の問い
おわりに
ドイツ語術語‐日本語訳語対照表
索 引