ソグド商人の歴史
著:エチエンヌ・ドゥ・ラ・ヴェシエール
訳:影山 悦子
内容紹介
中央アジアを中心に活動を展開していたソグド商人。紀元前1世紀頃に始まった「シルクロード交易」の歴史的実態とは? 中国・インド方面での交易、ソグディアナ本土での市場拡大、東西ステップ地域・イスラーム圏内における活動を、最終段階の紀元後10世紀まで、史料を元に綿密にたどる。世界的研究者による基本書。
目次
序
地図
図版
Ⅰ古代のネットワーク(起源から三五〇年まで)
導入
第1章 ソグド人ネットワークの起源――年代幅を狭める試み
1 古代ソグディアナ――商業を基盤とした経済か?
2 漢文史料が記すソグド人の地域内交易
3 ソグディアナをそれて?――紀元後初めの交易ルート
第2章 「古代書簡」をめぐって
1 「古代書簡」とソグド人ネットワーク
2 現地への移住
3 中国周縁部のソグド人ネットワーク
4 中国の共同体
第3章 インドとの交易
1 ソグド商人,クシャーン商人
2 北西インドへの定住
3 二次的な支線?
Ⅱ 商業帝国(三五〇~七五〇年)
導入
第4章 ソグディアナ,中心的市場
1 大規模な侵略
2 五世紀のソグディアナの復興
3 フンからエフタルまで,繁栄をもたらした政治勢力
4 移住地の拡大
第5章 中国において
1 漢文史料中のソグド商人
2 タリム盆地と甘粛
3 中国内地におけるソグド人交易の広がり
4 共同体の構造
5 中国のソグド人共同体の変化
第6章 構造
1 社会的構造
2 法律と政治の構造
3 ソグド人の交易の経済的側面
4 ソグド人とそのライバル
5 空間を制する
Ⅲ 交易と外交(五五〇~七五〇年)
導入
第7章 テュルク・ソグド人社会
1 テュルク・ソグド人社会の誕生
2 オルドスの馬
3 安禄山からウイグルへ
第8章 使節と商人――西方への道
1 ソグド人と突厥とササン朝の市場
2 ビザンティウムに近づく
3 ハザール帝国における交易
4 ホラズム人とソグド人
Ⅳ ネットワークの分断(七〇〇~一〇〇〇年)
導入
第9章 イスラーム世界のソグド人
1 八世紀の混乱
2 イスラーム圏における中央アジア商人
3 転換期となる九世紀
第10章 断絶と同化
1 ソグド人の西方への交易の終わり
2 トランスオクシアナにおける商業経済
3 ヒンターラントであるトルキスタン
4 同化の問題
結論
訳者あとがき
参考文献
注
索引