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親鸞と学的精神

著:今村 仁司

紙版

内容紹介

『教行信証』を哲学的著作として読む

目次

第一部 親鸞研究序説

第一章 清沢満之から親鸞へ
 一 清沢満之との出会い
 二 清沢満之の問い
 三 清沢満之が辿った道
 四 満之から親鸞へ
 五 親鸞をどう読むべきか
 六 親鸞の学的組織
 まとめ
第二章 親鸞と方法の問題
 一 『教行信証』の学的性格
 二 『教行信証』の二部門編制
 三 部門編制の問題点
 四 第一の学的部門――有限者から無限内存在に至る自覚過程
 五 第二の学的部門
 六 第一部門から第二部門への移行
第三章 親鸞における信の位置
 一 信の存在は自明ではないこと
 二 信とパラドクス
 三 有限な世俗人間における信の不可能性
 四 容易と困難(易行と難行)
 五 アポリアの自覚と腑に落ちる知
 六 親鸞の著作の意味
第四章 親鸞と悪人の概念
 一 悪の概念
 二 自力と他力の弁証法
 三 親鸞と哲学
 四 絶対悪からの解放の道
第五章 親鸞における覚醒の問題
 一 四十八本願の縮減
 二 本願の類別
 三 自利利他構造の観点
 四 横超と自利利他
 五 実践の形式的構造
 六 伝統的菩薩像の凡夫への還元
第六章 悪の概念と学の理念
 一 親鸞の人間学
 二 悪人‐存在(悪人であること)
 三 目覚めの過程
 四 法哲学(政治哲学)の萌芽
第七章 浄土門仏教の人間観
 一 原始仏教における悪の観念
 二 浄土門仏教における悪の観念
 三 現代における悪の観念
 
第二部 エセー

一 本願とは何か――親鸞思想の鍵概念(1)
 経典の語りの作法/説得について/説得法の類型/行為の人間学的基礎/願と行と果報の人間学的統一/方便願と成就願/まとめ
二 凡夫とは何か――親鸞思想の鍵概念(2)
 伝統的な凡夫論/凡夫の概念/凡夫性と煩悩/凡夫と悪の内面的関係(不可分の関係)
三 現代における悪の本質
 現代の悪とは何か/近代システムと自然破壊/有機的自然の「権利」とモラル
四 漱石と親鸞
 青年時代の漱石/晩年の漱石/則天去私と仏教/夏目漱石と清沢満之/死と死後をめぐる問題

著者略歴

著:今村 仁司
今村仁司(いまむら ひとし)
1942-2007年.京都大学経済学部卒業.同大学経済学部大学院博士課程修了.東京経済大学教授.専攻は,社会哲学,思想史.
著書:『社会性の哲学』『抗争する人間(ホモ・ポレミクス)』『清沢満之と哲学』『交易する人間(ホモ・コムニカンス)』『ベンヤミン「歴史哲学テーゼ」精読』 『近代の労働観』『アルチュセール全哲学』『ベンヤミンの〈問い〉』『近代性の構造』『排除の構造』『現代思想の基礎理論』『暴力のオントロギー』『労働のオントロギー』『アルチュセールの思想』ほか

ISBN:9784000234719
出版社:岩波書店
判型:4-6
ページ数:256ページ
定価:2800円(本体)
発行年月日:2009年11月
発売日:2009年11月27日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:QRFB