ウィーン ユダヤ人が消えた街
オーストリアのホロコースト
著:野村 真理
紙版

内容紹介
冷戦後の史料公開や研究の深化により、ホロコーストの「傍観者」=現地社会の加害の面が明らかになった。世紀末ウィーンに一八万人いたユダヤ人の苛烈な追放を可能にしたものは何か。多民族帝国から近代国民国家への激震の中、被害と加害のはざまを揺れ動いたオーストリアのホロコーストを、戦後の歴史政策も含めて描き直す
目次
序
第Ⅰ部 オーストリアの反ユダヤ主義
はじめに
第一章 近代的反ユダヤ主義言説の形成
一 近代の成功者ユダヤ人
二 大衆政党の登場――社会民主党とキリスト教社会党
三 キリスト教社会党の反ユダヤ主義
第二章 両大戦間期オーストリアの反ユダヤ主義
一 反ユダヤ主義言説の転換
二 オーストリア・ナチの登場
三 真のドイツ性と反ユダヤ
第三章 ユダヤ人社会の政治的孤立と窮乏化
一 世紀末ウィーンのユダヤ人
二 政治的ホームレス
三 ユダヤ人社会の窮乏化
第Ⅱ部 ホロコースト
はじめに
第一章 エクソダス
一 合邦の衝撃
二 ウィーン・モデルとは何か
三 ユダヤ人移住本部
第二章 移住から移送へ
一 第二次世界大戦開戦から独ソ戦まで
二 ユダヤ人社会の消滅
三 正義と不正義の境界
第Ⅲ部 二つの顔を持つ国
はじめに
第一章 オーストリアの戦後補償
一 犠牲者援護法と返還法
二 国外の犠牲者と相続人不在の財産
第二章 オーストリアの歴史政策
一 ヴァルトハイム事件
二 歴史政策の転換
あとがき
主要文献目録
人名索引