展望|Perspective
ユーラシア西部世界の構成と展開……大月康弘、清水和裕
一、地中海世界にとっての八―一〇世紀
二、転換期としての七世紀
三、カロリンガーのフランク王国
四、ザクセン朝のフランク王国
五、一棚世紀のビザンツ帝国と地中海世界
六、古代末期の西アジア、北アフリカ
七、イスラームの成立と「蛮族」アラブによる帝国の形成
八、征服王朝としての「イスラーム帝国」とその変容
九、イスラーム帝国の変容
一〇、アッバース朝の解体――一〇世紀のイスラーム帝国
問題群|Inquiry
中世ヨーロッパの展開と文化活動……佐藤彰一
一、ポスト・ローマ世界からの「離脱」
二、文化活動の諸
三、カロリング・ルネサンスとギリシア古典
ウラマーの出現とイスラーム諸学の成立……森山央朗
一、はじめに
二、ハディースの流布とウラマーの出現
三、シャリーア(法)をめぐる論争
四、ハディース学の発展とシャーフィイー法学派「ハディースの徒」の活躍
五、イスナードの意義
六、ウラマーの古典的な姿と一一世紀の変化
山々に守られた辺境の解放区――カスピ海南岸地域のアリー裔政権(八六四―九三〇/九三一年)……森本一夫
はじめに
一、アリー裔政権の興亡とその中でのダイラム人とギール人
二、ファーティマ裔の政権・ザイド派の政権としてのアリー裔政権
おわりに
焦点|Focus
ヨーロッパにおける帝国観念と民族意識――中世ドイツ人のアイデンティティ問題……三佐川亮宏
一、「共通の出自」という神話
二、「エトノス生成論」と「諸分国構造論」
三、「ドイツ」の起源
四、大フランク帝国の分裂
五、「中世ローマ帝国」の成立とドイツ人のエトノス生成
六、「帝国」と「王国」の狭間
聖像(イコン)と正教世界の形成……中谷功治
はじめに
一、聖人崇拝と聖遺物
二、画像崇拝の展開
三、いわゆるイコノクラスムをめぐって
おわりに――正教世界の成立へ
初期イスラーム時代の史料論と西アジア社会……亀谷 学
一、ムスリムによる歴史史料の生成と展開
二、史料の信頼性と初期イスラーム時代史研究
三、実物史料・非ムスリム史料から見た初期イスラーム社会
四、おわりに
アンダルスの形成……佐藤健太郎
一、はじめに
二、イスラーム教徒のイベリア半島征服
三、イベリア半島社会の変容
四、おわりに――アンダルスの境域
イスラーム科学とギリシア文明……三村太郎
一、アッバース朝とギリシア科学
二、マンスール期からマアムーン期にかけての天文知の受容
三、論証を武器とした占星術師キンディー
四、新たなギリシア科学知獲得競争からイスラーム科学へ
初期イスラーム時代のカリフをめぐる女性たち……高野太輔
一、はじめに
二、正統カリフとムハンマド――姻戚関係がつくりだした権威
三、カリフの母君
四、カリフの妻と女奴隷
五、カリフの姫君
六、おわりに
コラム|Column
フランク王国の法文化とテクスト……菊地重仁
アズハル・モスク――シーア派教育機関からスンナ派教育機関へ……近藤真美
修道院改革とヨーロッパ初期中世社会の変容……大貫俊夫
アラブ・ペルシア古典詩におけるチェスの表象……杉田英明