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岩波講座 世界歴史 第2巻

古代西アジアとギリシア ~前1世紀

他編:荒川 正晴
他編:大黒 俊二
他編:小川 幸司

紙版

内容紹介

人間は狩猟採集や農耕牧畜、遊牧を通じてどのように社会経済活動を始め、そこから都市・国家・帝国の原型はいかに形成されていったのか。考古学の最新知見に基づき先史時代の実態を解明するとともに、西アジア・エジプト・ギリシアの諸地域を相互の影響関係に着目しつつ論じ、地中海から中近東にいたる古代世界の新たな像を提供する。

目次

地 図

展 望|Perspective
 古代西アジア――新石器時代からヘレニズム時代まで……………近藤二郎
  一、古代西アジアの領域と「オリエント世界」
  二、古代エジプトの位置づけ
  三、先史時代の社会の歴史叙述
  四、古代西アジアにおける文字の誕生と文字による記録
  五、古代西アジアにおける都市国家の誕生からアケメネス朝ペルシアまで
  六、古代イスラエル史叙述の問題点
  七、古代エジプトにおける歴史概観
  八、天文現象と古代西アジア・古代エジプトの編年

 ギリシアとヘレニズム――ポリスと周辺世界のダイナミズム……………橋場 弦
  一、問いなおされる古代ギリシア史
  二、ポリスの誕生と展開
  三、古典期のギリシア世界
  四、ヘレニズムからローマへ

問題群|Inquiry
 古代オリエント文明の骨格――都市・農村社会と遊牧部族社会の形成……………藤井純夫
  一、農耕牧畜の始まり(先土器新石器時代B)
  二、移牧の派生(先土器新石器時代B)
  三、農耕牧畜社会の拡大(後期新石器時代)
  四、移牧から遊牧へ(後期新石器時代)
  五、都市・農村社会の形成(銅石器時代―前期青銅器時代)
  六、遊牧部族社会の形成(銅石器時代―前期青銅器時代)
  七、古代オリエント文明へ(前期青銅器時代後半)
  おわりに

 古代メソポタミアにおける神々・王・市民……………柴田大輔
  はじめに
  一、都市と市民
  二、神殿と神々
  三、王・王宮・国家
  おわりに

 古代ギリシアのポリス……………佐藤 昇
  はじめに
  一、ポリス(都市国家)文化の形成
  二、ポリスの秩序維持
  三、ポリスの財政と交易推進策
  四、ポリスと宗教活動
  おわりに

焦 点|Focus
 西アジア新石器時代における社会システムの転換……………三宅 裕
  はじめに
  一、生業と社会の関係
  二、先土器新石器時代における社会の複雑化――複雑な狩猟採集社会
  三、社会システムの転換――「新石器の崩壊」をめぐって
  おわりに

 初期国家形成期のエジプト――ヒエラコンポリス遺跡にみる社会の複雑化……………馬場匡浩
  はじめに
  一、ヒエラコンポリス遺跡
  二、墓からみた階層化
  三、集落からみた専業化
  四、初期国家の形成

 シュメール都市国家における王権と祭儀……………唐橋 文
  はじめに
  一、シュメール都市国家の王と王権
  二、王権と祭儀
  おわりに

 新王国時代第一八王朝のエジプト……………河合 望
  一、前二千年紀中葉のエジプトと周辺地域
  二、新王国時代第一八王朝初期の展開
  三、第一八王朝の対外関係
  四、アマルナ宗教革命
  おわりに

 アッシリア帝国――その形成と構造……………山田重郎
  はじめに
  一、国家アッシリアの原点としての都市アッシュル
  二、領域国家の成立
  三、「先帝国期」――衰退からの回復と領土再征服
  四、帝国の成立――行政州分割と中央集権
  五、帝国の行財政構造
  六、複合国家の文化的多様性と統一への施策
  七、アッシリア帝国の崩壊とその要因
  エピローグ――アッシリアの遺産

 ヘブライ語聖書と古代イスラエル史……………長谷川修一
  一、高校世界史教科書における古代イスラエル史記述
  二、教科書記述の検討
  三、ヘブライ語聖書執筆・編纂の歴史的背景
  おわりに

 ミケーネ宮殿社会からポリス社会へ……………周藤芳幸
  一、二つの文明、二つの社会
  二、ミケーネ宮殿社会の経済構造
  三、宗教文化とその景観
  四、継承と革新の世紀

 ジェンダーからみたアテナイ社会……………栗原麻子
  はじめに
  一、男性市民の社交空間
  二、「男らしさ」のヒエラルキー
  三、家のなかの女性たち
  四、オイコスの傘の外で
  五、ポリス宗教と女性
  六、女たちの声と民主政
  おわりに

 アケメネス朝ペルシア帝国とギリシア人……………阿部拓児
  はじめに
  一、帝国で活躍するギリシア人
  二、ペルシア大王の地理認識
  三、多様なる世界の統治者として
  四、ペルシア大王の世界観におけるギリシア
  おわりに

 ヘレニズム時代のポリス世界……………長谷川岳男
  一、ポリス衰退の時代?
  二、ポリスの自律性
  三、ポリス内部の変化
  四、ローマ帝国の民へ

コラム|Column
 歴史と探究、歴史の探究……………上野愼也
 シュメール語とアッカド語……………唐橋 文
 古代エジプトの女王……………山花京子
 『バビロン天文日誌』と十二宮・占星術……………三津間康幸
 ヘレニズムからローマへ……………伊藤雅之

著者略歴

他編:大黒 俊二
大黒俊二(おおぐろ しゅんじ)
1953年生.大阪市立大学名誉教授.イタリア中世史.『声と文字』〈ヨーロッパの中世〉(岩波書店,2010年).

ISBN:9784000114127
出版社:岩波書店
判型:A5
ページ数:342ページ
定価:3200円(本体)
発行年月日:2023年11月
発売日:2023年12月01日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:NHB