一 はじめに――「母語」ではなく「外国語」として
「母語」ではなく「外国語」として
日本語学習者の質問や誤用を手がかりに
二 「どうして「食べって」と言わないの」――説明は簡単じゃない
1 動詞のグループの見分け方
「くりこる」のテ形
動詞のグループ
テ形を作るルール
テ形を歌う
「活用」から「グループ」を考える
「グループ」から「活用」を考える
2 「正しい文」と「正しくない文」
「○」か「×」かを判断する
「×」の文を直す
「×」の理由を説明する
ネイティブだからできること
ネイティブでも簡単にはできないこと
3 「正しいけど,正しくない文」
「○」か「×」か「?」か
「○」がつけられない理由
「?」の理由
「文法性」と「容認可能性」
三 「そうですねえー,北京です」――文法は日々作られる
1 「そうですねえー,北京です」
会話授業の面接で
「そうですねえー」
意見を述べるとき,事実を答えるとき
考えているサイン
「「です」があるから丁寧です」
2 「よろしくお願いします」
「皆さん,どうぞよろしくお願いします」
「では,よろしくお願いします」
「あと,よろしく」
いつでも,どこでも「よろしく」?
3 「中国から来ました」
「どこから来たの?」
教科書の第一課
出身地を言うときは……
「~から来ました」
アメリカから来たのはいつ?
モデル会話の背後にあるもの
4 自分だけの文法
四 「先生,どうですか」――日本語にもお国柄
1 「先生,どうですか」
大学のキャンパスで
¿Qué tal?
2 「お金,ありますか」
「日本人は,よくお金の話をします」
「習慣ですか,あいさつですか」
「他にありますか」
「ハヒフヘホ」は「アイウエオ」
常識が働かなくなる!?
「日本語では直接的な表現は好まれない」
「ハサンと思います」
3 「一口,飲ませて」
「そばにいさせてください」
「ククスを食べさせて」
「ちょっとティッシュ使わせて」
4 「あっさりした和食」
一つの文でまとめて名乗る
〈制限用法〉と〈非制限用法〉
天ぷらは「あっさりした和食」?
子どもは何人?
5 母語によっても異なる日本語
五 「先生は若いし,……」――ことばの背後に潜む文化や価値観
1 「海外旅行といっても……」
予想を裏切る
「「……」と言っても」
「広いといっても全員は泊まれません」
「海外旅行といっても……」
「ハワイ」といえば……
何が「ふつう」か
2 「カレーも作れます!」
尺度を含意する「も」
「計算」のものさし
「携帯電話」のものさし
「日本の食べ物」のものさし
「料理」のものさし
まずは「ものさし」の共有から
3 「青山先生は若いし,……」
「~し」でつなげられるのは?
「若い先生」は好きですか
「狭いアパート」は?
4 ことばを教える,文化を教える
六 「今日はネコ暑いですね」――「わかりにくさ」を生みだすもの
1 「私の国にはこめかみがたくさんあります」
templeを辞書で調べたら……
英和辞書いろいろ
2 「今日はネコ暑いですね」
「虫暑い」
「虫」のムシでなく「蒸し暑い」のムシ
「メタ言語」と「対象言語」
ハルモエナ国にて
「の」は働き者
「メタ言語」でことばの世界が広がる
3 「母が怒って,ドアを蹴りました」
「Aて,B.」
「母が怒って」vs.「母に怒られて」
受身文が本領を発揮するとき
文脈が主語の解釈を助ける
4 「誤用」のコレクション
あとがき