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科学者に委ねてはいけないこと

科学から「生」をとりもどす

編:尾内 隆之
編:調 麻佐志

紙版

内容紹介

3・11後、「科学の信頼が失墜した」「科学は敗北した」といわれるが、「科学が信頼を失う」とはどういうことか? 雑誌『科学』より、3・11から二年間の論考を精選。これらを通して科学者のことばを問い、科学の不確実性に向き合い、原則に立ち返って根本から考え直す。今後の科学と科学者と、社会のあり方を展望する。

目次

 はしがき

序章 科学者の信頼をめぐる論点
 東北地方太平洋沖地震発生後の事象年表

第1章 「信頼」を見透かす
 Introduction
 リスクのブラックホール――不可視化されたリスクが露呈した福島原発震災 樫本喜一
 予測されたにもかかわらず,被害想定から外された巨大津波 島崎邦彦
 【補論】ねじ曲げられた科学 島崎邦彦
 原発事故と低線量放射線被ばくによる晩発障害 崎山比早子
 御用学者がつくられる理由 尾内隆之,本堂 毅

第2章 科学者のことばを問う
 Introduction
 原発事故――危機における連携と科学者の役割 中島映至
 パニック神話に踊らされる人々──福島原発災害にまつわる不当な情報制限 小山真人
 【インタビュー】日本数学会理事会声明について──宮岡洋一,坪井 俊両氏に聞く
 【資料】日本数学会理事会声明──東日本大震災に際して
 「専門家」と「科学者」――科学的知見の限界を前に 影浦 峡

第3章 「科学」を疑う
 Introduction
 住民ではなくリスクを管理せよ──『低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ報告書』にひそむ詐術 尾内隆之,調麻佐志
 放射線教育の問題点──なぜ低線量放射線リスクは“わかっていない”とされるのか 崎山比早子
 【補論】ICRP勧告の推移と勧告がもつ意味――放射線被ばく防護の原則にかくされた問題点 樫本喜一

第4章 不確実性に向き合う
 Introduction
 曲解されたUNSCEARレポート――誤って伝えられた被ばくの健康リスク 井田真人
 警戒区域外の住民に対する被曝管理体制の疑問──茨城県守谷市を例に 小豆川勝見
 環境汚染による健康影響評価の検討──水俣病の拡大相似形としての原発事故 高岡 滋
 科学技術の不定性と社会的意思決定──リスク・不確実性・多義性・無知 吉澤 剛,中島貴子,本堂 毅

第5章 原則に立ち返る
 Introduction
 リスク・コミュニケーションのあり方 吉川肇子
 信頼に値する専門知システムはいかにして可能か──「専門知の民主化/民主政の専門化」という回路 平川秀幸
 日本の理科教育における原子力問題の今後の取り扱いについて――副読本・検定・市民のための科学的リテラシー 笠 潤平

終章 科学から「生」をとりもどす

 〈コラム〉
 原子炉立地審査指針
 コンセンサス会議
 LNTモデル
 SPEEDI

ISBN:9784000052184
出版社:岩波書店
判型:B5
ページ数:160ページ
定価:2600円(本体)
発行年月日:2013年09月
発売日:2013年09月25日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PDZ
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:PD