はじめに
序 章 古典/現代法から法思想史を学ぶ意義 [戒能 通弘]
1 法思想史とは何か?
2 現代の日本法と法思想史
3 本書の概要
◆第Ⅰ部 古代・中世の法思想
第1章 自然法思想の誕生―アリストテレスの自然法思想 [戒能 通弘]
1 ソフィストの自然法思想
(1) ギリシア・アテナイの民主政
(2) ソフィストと自然法の視点
2 ソクラテスとプラトン
(1) ソクラテスと悪法
(2) プラトンのイデア論と『国家』
3 アリストテレスと自然法,正義
(1) 人間の自然と自然法
(2) アリストテレスの正義論
まとめ
第2章 自然法思想と実定法―自然法とローマ法 [鈴木 康文]
1 ヘレニズム時代のギリシア哲学
(1) 地中海世界の変容
(2) ストア派
(3) エピクロス派
(4) 懐疑派
2 ローマの法思想①―共和政期を中心に
(1) ローマ人の特性
(2) ローマ法の厳格さと属人主義
(3) ローマの拡大と法の変容,法務官の活躍
(4) 法学者の役割
3 キケロの自然法思想
(1) キケロとローマの政治
(2) 国家,法についての思想
4 セネカの国家,法に関する思想
5 ローマの法思想②―元首政期
(1) 自然法,万民法,市民法の意味
(2) 具体的な問題①―代物弁済の問題
(3) 具体的な問題②―危険負担の問題
6 ローマ法のその後
まとめ
第3章 自然法思想とキリスト教―アウグスティヌスとトマス・アクィナス [鈴木 康文]
1 アウグスティヌスの保守的自然法思想
(1) キリスト教とローマ帝国およびフランク王国
(2) キリスト教への回心
(3) アウグスティヌスの国家論
(4) アウグスティヌスの法理論
2 アクィナスのキリスト教的自然法思想と抵抗権
(1) 叙任権闘争と12世紀ルネサンス
(2) 神学と哲学の研究
(3) アクィナスの国家論
(4) アクィナスの法理論
(5) アクィナスの抵抗権論
(6) アクィナスの正義論
まとめ
◆第Ⅱ部 近代法思想の誕生
第4章 近代自然権・自然法思想―ホッブズ,ロックと近代国家 [戒能 通弘]
1 ホッブズの自然権思想
(1) ホッブズの自然状態と自然権
(2) ホッブズの自然法と国家
2 ロックの自然法思想
(1) ロックとフィルマー
(2) ロックの自然法と自然権
(3) ロックの抵抗権論
まとめ
第5章 自然法思想から人民主権論へ―ルソーの社会契約論 [神原 和宏]
1 自然法論とルソー
(1) 自然人・自然状態・自然法
(2) 社会状態と自然法
(3) 自然法の拘束力
2 ルソーの法思想―『社会契約論』
(1) 国法の原理
(2) 『社会契約論』の課題
(3) 先行理論批判
(4) 社会契約の性質
(5) 一般意志論
(6) 主権論
(7) 主権と統治の区別
(8) 人民集会
(9) 主権の制限
まとめ
第6章 近代市民革命後の法思想―カント,ヘーゲルのドイツ観念論 [神原 和宏]
1 カントの法思想
(1) カント法思想の著作と課題
(2) 自由の哲学
(3) 適法性と道徳性
(4) 法の定義
(5) 私法論
(6) 公法論
2 ヘーゲルの法思想
(1) ヘーゲルとフランス革命
(2) ヘーゲル『法の哲学』の課題
(3) ヘーゲルの自由意志論と法哲学の構成
(4) 抽象法
(5) 道徳性
(6) 人倫①―家族と市民社会
(7) 人倫②―国家
まとめ
◆第Ⅲ部 近・現代の法思想
第7章 ドイツにおける法実証主義―歴史法学,概念法学から自由法運動へ [鈴木 康文]
1 法典論争と歴史法学派
(1) ナポレオンの支配からウィーン体制へ
(2) 法典論争
(3) 歴史法学派の形成
2 歴史法学からパンデクテン法学・概念法学へ
3 ドイツ民法典の制定
4 自由法運動の法解釈論
(1) イェーリングの「概念法学」批判
(2) 自由法運動
(3) ヘックの利益法学
まとめ
第8章 イギリス型法実証主義の確立―ベンサムとオースティンの自然法批判 [戒能 通弘]
1 ベンサムの自然法,自然権批判と法実証主義
(1) ベンサムの時代のイギリス
(2) ベンサムの自然法論・自然権論批判
(3) ベンサムの功利主義と法実証主義
2 オースティンの法実証主義と分析法理学
(1) ベンサムとオースティン
(2) オースティンの法実証主義と分析法理学
まとめ
第9章 アメリカの法思想―自然権思想,歴史法学からリアリズム法学へ [戒能 通弘]
1 アメリカ独立期の法思想
(1) アメリカ独立宣言とジョン・ロックの自然権思想
(2) 違憲審査制と法思想
2 法形式主義の時代
(1) 歴史法学
(2) ラングデルのケース・メゾット
3 プラグマティズム法学とリアリズム法学
(1) ホームズ,パウンドのプラグマティズム法学
(2) リアリズム法学
まとめ
第10章 現代の日本法と法思想史―まとめにかえて [戒能 通弘]
1 憲法とのかかわり
(1) アメリカ,イギリスの憲法と自然権・自然法思想,法実証主義
(2) 日本国憲法,ドイツの憲法と自然権・自然法思想
(3) 基本的人権の保障・国民主権と法思想史
(4) 法思想史の観点から見る違憲審査制
(5) 生存権と法思想史
2 刑事,民事の裁判とのかかわり
(1) 刑事裁判と法思想史
(2) 法思想史研究と法解釈
引用・主要参考文献一覧
人名索引
事項索引