はじめに/第1章 甘粕大尉事件(大杉栄・伊藤野枝事件)/1 甘粕大尉事件をめぐる謎と問題点/はじめに(事件の概要)/事件発覚の経緯/問題点は何か/2 伏線としての朴烈事件/甘粕に対する世論/朴烈事件をめぐる報道/義烈団の暗殺・破壊計画/朴烈の動き/大杉と朴烈事件との関係/3 アナキストの暴力・テロ行為と軍人の社会的評価/ギロチン社(中浜哲と古田大次郎)らのテロ計画と大杉/ギロチン社の暴力・テロ行為/伊藤野枝との会話に見る軍人の社会的評価/4 事件の背景にあった警察と陸軍の対立関係/「国家国法を認めない者」(弁護側の大杉批判)/後藤新平内務大臣と大杉との関係/5 ポピュリズム的世論の扇動──劇場型現象としての甘粕裁判/東京高校初代校長湯原元一の議論/判決とポピュリズム的世論──昭和へのつながり/第2章 大正期の軍縮と世論/1 ワシントン条約を迎えて/陸軍への忌避のはじまり/国民から離れたところに軍隊はあり得ない/世論の急激な変化/軍縮の波は海軍にも及ぶ/2 第四五議会と陸軍軍縮案/「時代は変った」「世界の大勢」という大義名分/軍縮の本来の目的とは/陸海軍大臣の議会への責任/「戦争を予想することすら罪悪」/さらに進んだ軍縮傾向・軍閥批判/3 陸軍軍縮案の発表とその社会的影響/陸軍の順延策に対する新聞の追撃/陸軍軍縮案決定後も続く厳しい追及/迷走、さらなる大幅な軍縮へ/陸海軍の“惨めな状況”/退役軍人たちの苦難/軍学校受験者の激減/4 大正期の軍縮の歴史的意義/第3章 昭和期陸軍エリートの成績・昇進・派閥/はじめに/陸軍の中央機構/陸軍のエリート養成システム/陸大エリートの人事・昇進システム/学校成績と昇進/陸軍における閥の形成原理/むすび/第4章 昭和陸軍派閥抗争史/陸軍派閥対立の起源──九州閥と一夕会・青年将校運動/皇道派vs統制派/二・二六事件後──石原派vs東条派/武藤軍務局長と田中・服部・辻の参謀本部/中堅幕僚グループの重要性/第5章 二・二六事件と昭和超国家主義運動/昭和超国家主義運動の起源/昭和超国家主義運動の展開/昭和期陸軍の抗争/二・二六事件/第6章 二・二六事件研究史/「皇道派史観」と「統制派史観」/青年将校たちの記録・証言から見えてくるもの/クーデターの構造の解明と「将軍たちの陰謀説」の否定/裁判資料の存在とその後の諸研究/裁判資料発見と公開の経緯/第7章 二・二六事件の史実と虚構──映画『叛乱』をめぐって/小説の映画化に向けて/青年将校の思想を肯定/空前の大作として大ヒット/俳優陣と映画のポイント/史実としての安藤の苦悩/史実との違いと処刑シーン/第8章 天皇指名制陸相の登場──昭和一四年における天皇・陸軍・新聞/阿部新首相決定/三長官会議による多田陸相の決定/関東軍の抵抗/東条派による多田陸相阻止活動/天皇の陸相指名/天皇が「陸軍と衝突するの虞」/天皇の陸相指名と陸軍の立場/多田駿陸相の可能性/小括/第9章 乃木希典──旅順戦・殉死・「昭和軍閥」/乃木の生涯/旅順攻囲戦の指揮/乃木の詩才/殉死の報道/殉死への庶民とインテリの反応/福沢の皇室論を絶賛/乃木・長州閥排撃から作…ほか