プロローグ 天文と暦──日本の天文学ことはじめ/宇宙へのあこがれと探求心/江戸の天文学への招待/日本の天文学は六世紀頃に始まった/ベースは中国天文学/天の声を読み取る「天文」/民に時を授けるための「暦」作り/陰陽寮とその仕事/江戸時代への道/第一章 中国天文学からの出発──渋川春海の大仕事/1 八〇〇年ぶりの改暦──渋川春海と貞享改暦/日本人が暦を作る時代の幕開け/碁打ちの天文学者・渋川春海/貞享改暦への道/日本の天象に合った「大和暦」/まさかの不採用から改暦へ/数々の協力者たち/幕府天文方に就任/2 渋川春海は星占い師? ──天文占と星座研究/天文占と将軍綱吉/中国星座の体系/『天文分野之図』に込められた意味/『天文成象』と渋川星座/渋川春海にとっての天文占/日本の天文学の新しい流れ/3 西洋天文学との出会い/中国への伝来/日本での状況/『天経或問』のインパクト/西洋の天文学に半信半疑だった春海/望遠鏡の伝来/春海、望遠鏡で天の川を見る/渋川春海時代の終焉/第二章 西洋天文学の導入──徳川吉宗・麻田剛立が開いた扉/1 西洋天文学を導入せよ──徳川吉宗の試み/徳川吉宗によるトップダウンの暦改革/「理系将軍」吉宗の活躍/『暦算全書』から西洋天文学へ/天体観測への熱意/改暦へのスタート/改暦事業の失敗/中国から伝えられた新しい天文学/新しい中国天文書の普及/2 西洋天文学が変えた宇宙像──麻田剛立が見た宇宙/麻田剛立──新しい世代の天文学者現る/独自の暦法を作成/オープンな研究スタイル/西洋天文学が変えた宇宙像/剛立の考察(1)月のクレーターの深さを推測する/剛立の考察(2)地球の南極には大陸がある/剛立の考察(3)恒星は自分で輝いている/剛立の考察(4)ケプラーの第三法則に相当する法則の考案/大宇宙をイメージしていた麻田剛立/3 吉宗の願いが叶う時──寛政の改暦/麻田学派の形成と『暦象考成後編』の入手/弟子たちが成し遂げた寛政の改暦/アマチュアを貫いた麻田剛立/第三章 改暦・翻訳・地動説──高橋至時・伊能忠敬による発展/1 下級武士が取り組んだ改暦事業/急速に進歩した江戸の天文学/麻田門下の俊英・高橋至時/夫の学問を支えた内助の功/江戸で進められた改暦準備/改暦実施の決断/寛政の改暦事業/改暦の成功と麻田学派が与えた影響/2 拡大する天文方の仕事──蘭書翻訳と伊能忠敬の測量事業/天文方と天文占/西洋天文学を求めて/ラランデ暦書の入手/高橋の寿命を縮めた翻訳作業/伊能忠敬の全国測量計画/一七年間におよんだ全国測量/3 地動説への取り組み/日本に入ってきた地動説/地動説に対する高橋至時の見解/惑星の運動からみた天動説と地動説/高橋至時の惑星運動論研究/取り入れられなかった地動説/高橋至時の研究の継承/第四章 変わる天文方の仕事──間重富・高橋景保の奮闘
他