第1章 論文とはなにか:辞書に書いていない意味を考える/『文章読本』と『論文の書き方』/国語の辞書が開いてくれる手がかり/国語辞典の説明の限界/「論文」を支える3つの形式・条件/第2章 「論」と「文」の結合:論文の形式/論文の宛先:手紙や日記との違い/筋道立てて述べる:正しいと思うことを言う/「あげつらう」の変容:正しいと思うことを挙げつづける/〈声〉の状況依存を超越する〈文〉/「謎かけ」と「謎解き」/第3章 〈文〉で論ずることの厚み:読む対象/知る方法 /読む対象としての「文」/記す手段としての「文」:対象を立ち上げる/主体もまた織り込まれている/意味のありか:経験としての「文」/主体をも生成させる:知ることの創造/知る方法としての「文」/学問としての「文」の世界:印刷革命の公共性/インターネット情報の不安定な集積/第4章 主題・問題意識・問題設定:問いを立てる(その1)/問いを立てる/対象としての素材もしくは領域:主題としての「問い」/問う主体の関心のありか:問題意識としての「問い」/「謎」を立ち上げる:問題設定としての「問い」/「わからなさ」を構築する論理的説明へのこだわり/古典のなかの複数の「問い」/方法的な「問い」と実践的な「問い」/「謎」としての社会的自殺率/第5章 通念の切断と思考の運動:問いを立てる(その2)/存在論的な「問い」の落とし穴/観察の窓をひらく場所:社会学の「問い」の特質/記述的な「問い」の落とし穴/アルチュセールの補助線:「認識論的切断」という課題/「世界を止める」:『気流の鳴る音』のおしえ/問われない前提:くりかえされる説明をカッコに入れる/原材料/生産手段/生産物 /漢語概念のむずかしさの切断/第6章 観察と対話の組織化:方法としての社会調査(その1)/社会の認識を生みだす/ニュース、ドキュメンタリー作品、口述調書/問題設定に依存する/認識生産の過程としてとらえることの意義/質問紙の組織力:1つの技術革新/調査票のもつ3つの機能:リスト/カード/マニュアル /質問紙によるデータ収集の弱点/工場生産のラインプロセスと手工業的な熟練/第7章 調査研究のさまざまな局面:方法としての社会調査(その2)/対象設定の局面と「全体/単位」/全体が最初からは見えていないケース:全体の想像とその複数性/代表性概念の肥大/データの処理と分析/データで実証するということ:実証という理念の厚み/理論のつくりなおし/媒体としてのコンピュータ/社会認識の生産プロセス再び/第8章 2項対立のあしらいかた:疑似問題の流動化/量的と質的:対立概念と考えてはならないもの/「量的/質的」の研究法分類の歴史性/2つに閉じる思考のメカニズムを3つで動かす/変動の図式化にかくれた2項対立/大衆運動の説明の図式演繹性/○○化論をのりこえる:社会変動論から歴史社会学へ/第9章 リレーショナル・データベースとしての社会/資料とデータの違い/資料の社会的存在形態/役場や警察の実用知識:記録の制度的存在形態/組織文書/メディア文書/個人文書 /ほか